Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
アルキルリチウムを触媒とするベンザインの触媒的発生法を開発することができた。また、この反応性を利用したカルボヨウ素化反応により、芳香環上にさまざまな炭素官能基を導入することができた。得られる生成物は芳香環上のヨウ素原子を足掛かりとした、さらなる官能基化が可能な点で合成的に有用である。なお、この反応では、求核剤としてリチウムアミドを用いることも可能であり、芳香環上へのアミノ基の選択的な導入も可能であることを明らかにした。反応機構に関する詳細な検討の結果、この反応ではまず始めに、ヨードトシラートとアルキルリチウムとのヨウ素-リチウム交換によりベンザインが触媒的に発生した後、ベンザインへの求核付加、引き続くヨードトシラートをヨウ素源とするアリールリチウムのヨウ素化を経て、生成物を与えるということが分った。また、四員環上にアルコキシ基を持つトリシクロブタベンゼンの熱的な開環によって得られるヘキサラジアレンの反応性について詳しく調べたところ、適切な条件では時間的反応集積化に基づく連続的な多重環付加反応により、拡張型のπ共役系分子を与えることが分った。詳細な検討の結果、補足剤を適切に選択すると、一重付加体あるいは二重付加体を選択的に与えることを見出した。この知見は反応の連続性の確保の観点から重要であり、さらなる時間的反応集積化によって、より高度に縮環した拡張型π共役系分子の合成が可能であることを明らかにした。さらに、四員環の熱的開裂に関連して、シクロブタフェナントレンの電子環状反応を巧みに用いることによって安定型キノジメタンが得られることを見出し、いくつかの化合物についてX線結晶構造解析にも成功した。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
触媒的ベンザイン発生法の開発に成功した。この知見は高反応性分子を自発的に集積化させるための有力な手法になるものと期待される。
ヘキサラジアレンをコアとする時間的反応集積化法を開発することもできた。今後、この手法によって得られる多様なπ共役系分子の新規物性の開拓と新しい機能の発見につながる重層的な研究を展開するとともに、具体的な標的分子の合成を行うことによって、この方法論の完成度を高める。
All 2012 2011 2010
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 5 results) Presentation (3 results)
Angew.Chem.Int.Ed.
Volume: 51 Issue: 14 Pages: 3368-3372
10.1002/anie.201108415
Chem.Commun
Volume: 47 Issue: 24 Pages: 6891-6893
10.1039/c1cc11758k
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Volume: 40 Issue: 10 Pages: 1198-1200
10.1246/cl.2011.1198
10029684039
Volume: 46 Pages: 5316-5318
Volume: 49 Pages: 2248-2250