Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
海溝付加体における超低周波(VLF)地震の誘発励起の例としては、2004年紀伊半島沖地震(Mw=7.4)に誘発された熊野灘沖付加体におけるVLF地震群発活動がよく知られている。ここではVLF地震活動の再発を見込んで、2008年8月から2009年9月まで杉岡・伊藤(JAMSTEC)らが広帯域海底地震計(BBOBS)3台を設置していたが、狙い通り前回活動から5年後の2009年3月にVLF地震群発活動が再発した。VLF地震直近でのBBOBS観測は世界初であり、この得難いデータから岡元(東工大)・中村(海洋研究開発機構、以下JAMSTEC)らが中心となって震源過程の復元を試みた。必要な震源近傍における地震波速度構造モデルは尾鼻(JAMSTEC)らがJAMSTECグループの構造探査結果に基づいて構築し、結果の解釈に必要な付加体に関する知識は木下(JAMSTEC)らが提供した。研究代表者(深尾)は上記を含む多くの研究者をVLF-seminarとして組織し、互いの解析・検討結果の報告・議論をリードしてきた。セミナーの積み重ねにより、付加体の底で起こるVLF地震の特異な震源過程とそれをもたらすプレート沈み込み環境が以下の如く明らかになった。(1)VLF地震は同程度マグニチュードの通常地震と比べて継続時間が30-100倍と異常に長い。(2)プレート境界(付加体底部)付近に起こる超低角逆断層地震でありこれまで推定されていた高角分岐断層地震とは明瞭に異なる。(3)超低周波地震と呼ばれるものの震源付近では数Hz帯の高周波も通常地震以上に励起されており、付加体底部においてズレ破壊と水圧破砕とが互いに相互作用しながら進行したと考えられる。(4)震源域は海溝軸ごく近傍に位置し、VLF地震が巨大化すれば震源時間が異常に長く津波の励起効率の高いいわゆる津波地震になると予想される。
All 2012 2011 2010
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)
Nature Geoscience
Volume: 5 Issue: 6 Pages: 1-3
10.1038/ngeo1466
J.Geophys.Res.
Volume: 115