Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
天然変性タンパク質と人工的に作り出した変性タンパク質の構造特性とアミロイド線維形成(コンフォメーション変化)について更なる継続的な研究を行い,以下のような成果を得た。1:天然変性タンパク質αシヌクレインのアミロイド線維形成天然変性タンパク質として代表的なαシヌクレインはアミロイド線維を形成し,パーキンソン病を発症する原因タンパク質である。このアミロイド線維の核部位に対する抗体を用いてαシヌクレインのアミロイド線維形成抑制について調べた。その結果,αシヌクレインに対してモル比で1/20量の抗体が存在するとアミロイド線維形成が抑制されることが分かった。このことは,抗体はアミロイド線維形成途中のオリゴマー分子種を特異的に認識して阻害効果を呈していることが考えられ,アミロイド線維形成機構についての新たな示唆が示された。2:変性させたGroESタンパク質のアミロイド線維形成中間体の同定とアミロイド線維形成機構の解明塩酸グアニジン中で完全に変性し,ランダム構造となったGroESタンパク質のNMR構造を明らかにするとともに,そのアミロイド線維形成反応の初期構造を同定することに成功した。GroESタンパク質は時間の経過とともにランダム構造からアミロイド線維核を形成するが,その初期に,Asn-Gly部位においてペプチド結合が主鎖から側鎖に転移が起こることを明らかにした。その部位のAsn残基をAla残基に変異させると転移中間体が観測されず,アミロイド線維の形成が抑制されたことからも裏付けられている。このAsn-Glyの構造転移が引き金となってアミロイド線維核形成を誘導していることは,天然変性タンパク質の特徴の一つとして大いに注目される。
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120001981960
http://www.bio.tottori-u.ac.jp/~prot/main.html