Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
大気条件で育成したイネ(7.0葉期)を高CO_2環境に移し、新たに完全展開した葉身を順次解析することによって、さまざまな高CO_2応答それぞれについて、高CO_2環境が葉のどの発達段階で感知されるのか(高CO_2環境シグナルの作用点)を調べた。完全展開葉では光合成のダウンレギュレーションは起こらないとされていたが、窒素欠乏条件では、形態的に完全展開した葉(7.0葉期の第7葉)でも、約2日間の高CO_2処理で葉身の最大タンパク質含量(7.7葉期)が低下することがわかった。葉のサイズの変化(葉身幅と葉身長の減少)は、高CO_2処理開始後3~4枚目の葉(第10葉~第11葉;高CO_2処理開始時点の発達段階は、フード型葉原基~幼葉)で現れることがわかった。また、葉身厚の増大は処理開始後4枚目の葉(第11葉;処理開始時点では幼葉)で現れた。葉身幅と葉身長の減少は窒素欠乏、高CO_2それぞれで引き起こされたが、葉身厚の増大は窒素欠乏では認められず、高CO_2処理に特異的な現象であることがわかった。気孔パラメーターには高CO_2処理の効果はほとんど認められなかった。葉身の表皮構造を調べた実験で、窒素欠乏による葉身長の減少は表皮細胞数の減少に起因すること、一方、高CO_2処理の場合は表紙細胞が短くなることに起因することがわかり、メカニズムが異なることが明らかにされた。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
イネの様々な高CO_2応答それぞれについて高CO_2環境シグナルの作用点を特定し、光合成のダウンレギュレーションと葉の形態変化とは作用点が異なる(異なる発達段階で高CO_2環境を感知し応答する)ことが明らかにされた。炭水化物シグナルの同定には至らなかったが、作用点を特定できたことにより、高CO_2応答それぞれの分子メカニズムの解析が可能となった。
高CO_2環境による光合成のダウンレギュレーションと葉の形態変化それぞれの分子メカニズムを明らかにする。また、高CO_2応答それぞれについて、応答を引き起こすシグナルを特定する。
All 2012 2011 2010
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (17 results)
J.Exp.Bot.
Volume: 62 Issue: 9 Pages: 3021-3029
10.1093/jxb/err023
Proc.Natl.Acad.Sci.USA
Volume: 107 Pages: 5226-5231
Plant Mol.Biol.
Volume: 74 Pages: 549-562
Field Crop Res.
Volume: 121 Pages: 195-199