Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では親の社会経済的背景が児の発育や肥満形成へどのような影響を及ぼすのか、既存の前向きコホート研究においての成績を基に明らかにすることを目的とした。検討にあたっては、2001年1月から開始された「ダイオキシン類等による胎児期曝露が幼児の発達に及ぼす影響の前向きコホート研究」(主任研究者:佐藤洋、東北大学大学院医学系研究科教授)のデータを用いた。調査自体は継続的に行われていたために、新しいデータの組み込みが終了していなかった。本年度はこれまで記録されていたもののデータベースに含まれていなかったデータの統合、さらに本年度に観察されたデータを既存データベースに融合させる作業を始めに行った。なお、データベース構築が概ね順調に推移し、児の発育に影響を及ぼす要因を明らかにするためのデータ解析をスムーズに進める事ができた。今年度の解析対象数は419名(男子:220名、女子199名)となった。体格についてみると、最も大きい相関係数を示したのは18ヶ月体重と42ヶ月体重であり、最も小さい値を示したのは出生時体重と84ヶ月体重であった。出生時体重が低体重で無い場合、出生時体重や18ヶ月における過体重と84ヶ月での肥満形成との関係はあまり大きくない結果が示された。また、次に親の収入と子どもの体格との関係を明らかにすることを目的とし解析を行った。親の年収と児の身長、体重およびBody mass indexとの間に統計学的に有意な関連性は認められなかった。また、42ヵ月時および84ヶ月時における児の肥満の出現率についても、親の収入との間に有意な関係性は認められなかった。今回の対象児の年齢では親の経済的要因と児の身長、体重および肥満の出現率において統計学的に有意な関連性が認められなかった。親の収入などの経済的要因による健康影響は児の生活史を通じて蓄積され、健康に影響を与える可能性も示唆されている。今後もさらなる観察が必要であろうと考えられた。
All 2011 2010
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)
Obesity research & clinical practice
Volume: 5