Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,内容の限られた地域ごとの集計的な観測データと,少数であるが内容の豊かな個々の人間・企業に対するミクロなデータを駆使し,現在の地域格差の実情を正しく理解するばかりでなく,地域格差を発生・拡大させる機構を解明するための方法論を提案することである。 平成23年度は,東日本大震災被災地で十分なサンプル数の社会調査や医療・健康データの収集が困難となった。そこで,震災後の調査の情報で把握できる次の2つの典型的な現象を対象に,空間的な格差の発生問題を分析した。 ●地域のガソリンスタンド(GS)の備蓄切れには時間的なずれがあり,供給状況の改善も徐々に進んだはずなのに,GSへの行列の発生と消滅は一気に生じた。 ●震災前からGS数は減ってきていたが,平常時には不便さや地域的な格差は意識されていなかった。震災により不便さや地域格差が大きな問題として認識された。 1番目の現象は,地域内での観測情報が新聞記事やインターネット,口コミ,で伝わる過程において,観測頻度の違いによるバイアスとして理解できることを示した。 2番目の現象は,GSの利用形態が変化した結果として説明できる。すなわち平常時は,待ち時間が少ないため他の用事で移動中に至近のGSに立ち寄ること(移動中利用)が可能であり,GS数が減少しても余分の移動時間(距離)は増加しない。震災時には,GSでの待ち時間が長く不確実になり,自宅から給油のためだけに出かける(居住地利用)必要が生じて移動時間(距離)が大きくなり,GS数の減少の影響も大きくなった。このことを数値計算により明らかにした。
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