Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
成体になっても、記憶をつかさどる海馬では、新しくニューロンが生まれ、新しく神経回路ができている。近年の研究から、この新しい神経回路は、社会コミュニケーションの成立に欠かすことができないエピソード記憶の形成や維持に探く寄与していることがわかってきた。そのため、新生ニューロンによって形成される新しい海馬回路を調べ上げること、すなわちアダルトニューロジェネシスによるヘテロ脳回路の動的アセンブルを明らかにすることは、コミュニケーションの脳内機構の理解につながる。本研究では新生ニューロンによって形成される新しい海馬回路を可視化することを研究目的とした。新生ニューロンを除去する方法としては放射線照射を利用し、新しい研究手法であるOpto-fMRIを用い、新生ニューロン回路のあぶり出しを行った。海馬新生ニューロン回路の生理的特性を調べるためにOpto-fMRI解析を行った。Thy1プロモーターの制御下で光感受性チャネルChR2(チャネルロドプシン2)を発現する遺伝子組み換えラットを用い、光ファイバーを海馬歯状回部位に挿入し、MRI装置内で青色半導体レーザー光源(473nm)のを用いて光刺激した。新生ニューロンのはたらきを調べるために、ガンマ線照射(10Gy)により新生ニューロンを除去した遺伝子組み換えラットを準備し、同様の実験を行い、結果をコントロールラットと比較した。光刺激の有無によるBOLD信号の変化を4.7Tesla小動物用MRI(Varian)を用いて導出した。これらのMRIデータを脳機能解析ソフトであるSPMを用いて統計学的に解析し、集団解析を行った。その結果、新生ニューロンを除去した放射線照射ラットでは、コントロールと比較して、CA3領域における有意なBOLD信号の低下が観察された。アダルトニューロジェネシスは海馬回路の機能的連結に深く寄与していることが示唆された。
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Neuroscience Research
Volume: 74 Pages: 248-255
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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hisatsune-lab/