Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
不確実であり常に変化する自然環境において、過去の情報をもとに予測を形成することによって適応的に行動を決定する神経機能は、我々が自然環境で生き残るために欠かせない情報処理能力の1つである。これまでの強化学習に代表される機械学習の枠組みによって、ヒトを含む動物の意思決定機能を説明し、その枠組みでの解の1つであるアルゴリズムに使われる変数の神経相関を求めることによって、脳機能の機構的な理解を得るアプローチがとられてきている。本研究では、強化学習においていわれている外界からの情報を得ようとする行動に対応する探索行動と、過去の情報に基づいて報酬を最大化しようとする行動選択とのバランスを調整する脳神経機構について、動物を使った神経生理学的研究とヒトの脳機能イメージング研究を組み合わせて研究を行ってきた。この2年間の研究によって、サルが複数の属性をもつ2つの刺激から1つを選択する課題における意思決定の探索行動と報酬最大化行動の強化学習モデルを作成し、複数属性を組み合わせた図形そのものの学習よりも、それぞれの属性ごとの価値を学習することによって行動選択がより説明されることを示した。また、そのモデルを使って大脳基底核の線条体における神経活動との相関を報告した。ヒトの脳機能イメージング研究では、被験者にペットボトルの水に代表されるような自ら消費し、味などの選好が出にくい商品から1つを選択してもらう課題を行なわせ、未知のブランドを選択する傾向を調べた。未知商品を選択する傾向の強い個人は、強化学習によって説明される、4本腕山賊課題の行動を説明する探索性を制御するパラメータより低い(すなわち探索性の強いヒトである)傾向があることが確かめられた。
All 2012 2011
All Presentation (3 results)