Evolutionary basis for group-mindedness and culture in single- and multi-level societies
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
22H04451
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Humanities and Social Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 真也 京都大学, 高等研究院, 准教授 (40585767)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥10,140,000 (Direct Cost: ¥7,800,000、Indirect Cost: ¥2,340,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | 集団性 / 個体間情報伝達 / 重層社会 / 集団間関係 / 社会ネットワーク / 集団行動 / 集団内・集団間関係 / 家畜化 |
Outline of Research at the Start |
人類の世界拡散を可能にした「ヒトらしい」行動・心理特性の進化的基盤を、比較認知科学の視点から明らかにする。ヒトは、困難な状況に集団で協力して対処する能力に優れている。この集団性こそがヒトを人たらしめていると考えられるが、その進化的起源についてはほとんど解明されていない。この点について、主に進化の隣人であるチンパンジー・ボノボの比較研究を通して、集団性のメカニズムと進化について解明する。また、集団と集団が団結して協力するというのも複層化(重層)社会をもつヒトの大きな特徴だが、本研究では、野生ウマの重層社会における集団内・集団間関係をドローンやGPSデータを駆使して解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
人類の世界拡散を可能にした「ヒトらしい」行動・心理特性の進化的基盤を、比較認知科学の視点から明らかにするのが本研究の目的である。ヒトの集団協力・文化形成を可能にした集団性の進化的起源について、主に進化の隣人であるチンパンジー・ボノボの比較研究を通して、集団性のメカニズムと進化に関する実証研究を推進している。また、集団と集団が団結して協力するというのも複層化(重層)社会をもつヒトの大きな特徴だが、本研究では、野生ウマの重層社会における集団内・集団間関係をドローンやGPSデータの分析を進めている。 大きく二つの研究を遂行した:①集団性の種間比較、②個体間情報伝達の種間比較。①では、直接観察・ドローン・GPSデータをもとに、自然集団の社会ダイナミクスの解明を試みた(Mendonca et al. 2022)。そのうえで、飼育集団および自然集団を対象としたプレイバック実験および集団協力実験をおこない、かれらの集団性の認知基盤を明らかにした(Brooks et al. in prep)。さらに、オキシトシンをはじめとするホルモンの投与実験や生理反応の計測もおこない、様々な種でみられる集団性について、神経生理メカニズムという統一的視点から考察をおこなった(Brooks et al. 2022a,b)。②については、「情報」として、個体の行動(②-1)や知識(②-2)がどのように個体間・集団間で伝播するのかを、野外観察および実験的手法を用いて検討している。その際、技術や知識の獲得と社会的地位(Dominance・Prestige)の関連も調べるべく、まずは理論的枠組みと仮説設定、および比較認知科学的実証研究の方法論を意見論文としてまとめた(Lee & Yamamoto 2023)。 これらの成果を、査読付き英文学術論文8本等にまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
査読付き英文学術論文8本の公表等、計画以上の成果をあげられたと自負している。研究環境としても、社会ダイナミクス・重層社会・社会的地位・家畜化をキーワードに、類人猿2種・伴侶動物2種を主対象とした統一的な比較研究を実施する研究環境を整えた。自然環境で自発的に形成される社会の研究、および飼育下での綿密な認知実験を組み合わせるという世界的にもユニークな研究である。2022年度もコロナ禍の影響を大きく受けたが、国内調査に重点をシフトさせ、海外調査についてはこれまでに収集したデータの分析をおこなうことで、研究計画全体を進展させることができた。また、これまでコロナ禍で中断していた海外調査も少しずつ再開することができ、今後の研究の飛躍が期待できる。飼育下では、チンパンジー・ボノボ・ウマ・イヌ・ネコの5種に安全に投与できる手法を確立し、直接種間比較できる研究環境も整えた。すでに実験もいくつか実施済みであり、近く論文として公表できる見込みである。種内個体間の関係性の変化だけでなく、主に家畜動物におけるヒトとの種を超えた社会関係構築メカニズムの解明にもホルモンレベルからアプローチしている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、類人猿2種・伴侶動物2種を主対象に、自然環境下での観察研究と飼育下での実験研究を組み合わせて集団性と文化形成メカニズムの進化的基盤の解明を進める。海外での調査も徐々に再開しはじめている。野生ボノボの調査地には、2022年度に研究協力者が渡航し、研究再開の準備をおこなった。コロナ禍で日本人が海外渡航できなかった間も、現地カウンターパートとの連携は維持されていたおかげで、最低限のデータ収集は継続できている。これらのデータ分析もこれから加速していきたい。 飼育下の研究では、私たちがこれまでに確立したオキシトシン経鼻投与の手法を用い、5種で比較研究ができる環境を整えた。集団全個体にオキシトシンを投与して社会ネットワークの変化を調べるなど、世界でも例がない最先端の研究を推進したい。また、ウマについては、高い社会的知性とともに重層社会というヒトとの共通点が見いだしてきた。このような複雑な社会でみられる彼らの個体間相互作用・集団意識というものを、観察・実験を通して明らかにする。 また、新たな展開として、ニホンザルやゾウの研究にも着手している。ニホンザルについては、コロナ禍においても国内でできる・個体情報や社会関係に関するデータの蓄積がある・餌付け群のためエサを用いた実験ができるというメリットを活かし、集団のネットワーク分析とフィールド認知実験を組み合わせるという新しい研究手法の展開を試みている。ゾウに関しては、高い知性を持つと言われながらも、彼らの認知にかんして実証的な研究がほとんどされてこなかった。野生下での観察と飼育下での実験を組み合わせ、新しいゾウ認知科学を立ち上げる。また、野生ゾウは重層社会を築くとも言われており、私たちが野生ウマを対象に開発したドローンでの研究手法を適用することで、重層社会の定量的な種間比較というこれまでにない研究の展開が見込まれる。
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Report
(1 results)
Research Products
(29 results)