Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究の究極的な目標は、ヒトの顔面形態の個体差および集団差を生む究極要因(進化的意義)および至近要因(メカニズム)を明らかにすることにある。そのためには、硬組織形態と軟組織形態を切り分けて表現型を評価し、独立な形態変異成分を抽出することが必要である。本研究では、computed tomography(CT)画像を用いて多変量解析および機械学習に基づいた形態解析手法を考案しながら、硬組織形態と軟組織形態を解析する。顔形態の表現型分化を総合的に理解にすることは、ヒトの形態だけでなく、認知を考える上でも興味深い。つまり、ヒトの顔は身体と認知を統合して考えるための優れた研究材料となる。
頭部顔面形態の集団間の違いは、主に硬組織(骨)の違いを表しているのだろうか、それとも主に軟組織の違いを表しているのだろうか。それを明らかにすることは、顔面形態に働く選択圧を考える上で重要である。これまでの顔面形態の研究において、硬組織形態と軟組織形態を切り分けて表現型を評価する試みは余り多くなく、そのための普遍的な手法も確立されていない。本研究では、1700人分のMRI画像を用いて頭顔面上部の幾何学的形態測定を行った。まず、50人のMRI画像で作成した平均形状をリファレンスとして用意し、①脳とその周辺組織、②頭蓋骨、③皮膚を含むそれ以外の領域にセグメンテーションした。さらに、3次元空間に4mmの間隔でグリッドを設定し、セミランドマークとした。リファレンス画像を各サンプル画像にワープすることで、セミランドマークをサンプル画像に転写して、各サンプル画像におけるセミランドマークの座標値を得た。この座標値を用いて、プロクラステス分析による重ね合わせの後、主成分分析を行なうことで、頭顔面上部の形状成分を抽出することができた。結果として、第1主成分(PC1)は長頭・短頭、PC2は後頭部の左右のゆがみ、PC3、PC4およびPC6は主に頭部の側面観の形状パターン、PC5は主に頭部の上面観の形状パターンを表していた。そして、年齢、性別、セミランドマークの重心距離(CS)、身長、体重を変数とする重回帰分析の結果、それぞれの変数が関係する形態成分が明らかとなった。しかしながら、このような上位の主成分は主に頭蓋の形状を表わす成分であり、顔面における軟組織の形状パターンを検出するためには、部位を抽出した上で、形状解析を行う必要があることが示唆された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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PLoS One
Volume: 18 Issue: 3 Pages: e0283636-e0283636
10.1371/journal.pone.0283636
http://out-of-eurasia.jp/recruitment/index.html