Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、西日本では、災害に繋がる梅雨期の集中豪雨が増加傾向にある。これまでの研究から、西日本における梅雨初期・中期の降水量の経年変動は、東シナ海の大陸棚上と黒潮の水温差の経年変動に依存することが指摘されている。東シナ海の表層水温は黒潮の影響を強く受けているので、その経年変動を理解するには、黒潮の流況(流速・流路・流れの安定性)の時空間変動特性を理解することが必須となる。本研究は、東シナ海の黒潮の流況について長期変動(季節~数10年規模)の特性を理解し、黒潮の諸変動が日本周辺の表層水温変動に与える影響、延いては西日本の梅雨期の降水に与える影響を評価することを目的としている。
東シナ海の黒潮の流況について,長期変動(季節~数10年規模)の特性を理解し,黒潮の諸変動が日本周辺の表層水温変動に与える影響,延いては西日本の梅雨期の降水に与える影響を評価した。その結果、以下のことが明らかとなった。1)2005年以降,東シナ海の黒潮流速と流軸位置は顕著に準3年周期変動した。この原因は,2005年以降,赤道太平洋の気候がEP-ENSOからCP-ENSOに変わったため,北太平洋の亜熱帯反流域で風応力カールの明瞭な変動が起こるようになり,東シナ海の黒潮が効果的に傾圧ロスビー波応答したことによる。2)黒潮流軸の岸沖方向の経年変動は,大陸棚上の海面水温を経年変動させた。ただし,熱収支解析からは,梅雨期の降水に影響すると考えられる初夏の大陸棚上の貯熱量は,春から初夏にかけての黒潮の熱移流のほかに,冬季アジアモンスーンによる海面冷却効果が重要であることがわかった。3)初夏に大陸棚上の海面水温が低い年は,梅雨前線の位置が南九州に集中しやすい。4)東シナ海の黒潮の水温は近年40年間で約1℃上昇した。この影響は,黒潮上での対流性降水の強加を通して,黒潮上の6月における降水量を、近年40年間で約2倍に増加させることに寄与した。さらに,係留型流速計のデータなどの解析に基づいて,データ東アジアモンスーンの季節変動とその経年変調が,東シナ海の黒潮流速を変動させる仮説の検証を行った。その結果,以下のことが明らかとなった。1) 黒潮直上の風応力(流下方向成分)と黒潮表層流速の季節変動の振幅比は,~0.2(m/s)/0.1(N/m2)である。2)黒潮表層流速の季節変動の振幅変調(25年間のトレンド)は,東アジアモンスーンの季節変動の振幅変調で量的に説明できる。3)流速変動の駆動力として,黒潮上の非線形エクマンパンピンと黒潮の海面流に相対的な風応力は,ほぼ同程度に重要と考えられる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 3 results) Presentation (6 results)
Geophysical Research Letters
Volume: 51 Issue: 2 Pages: 1-11
10.1029/2023gl107021
Frontiers in Marine Science
Volume: 10 Pages: 1-7
10.3389/fmars.2023.1242294
Journal of Geophysical Research: Oceans
Volume: 128 Issue: 11 Pages: 1-19
10.1029/2023jc019749
Progress in Oceanography
Volume: 204 Pages: 102808-102808
10.1016/j.pocean.2022.102808
Volume: 127 Issue: 12
10.1029/2022jc018957