Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では,機能コアのうち特に強誘電体の分極ドメイン壁における分極回転を,電子密度分布から初めて直接的に観測することを目指す.分極ドメイン壁は強誘電体の誘電特性を支配する機能コアである.ドメイン壁の電場応答の違いはその内部構造に起因するものの,これまでに分極回転の詳細を直接観測した例はない.この分極回転をナノメータスケールで直接観測する手法の確立は,強誘電体デバイスの高性能化,そして新たなデバイス作成に大きく寄与することができる.
本研究では、機能コアのうち特に強誘電体デバイスの動作を支配している分極ドメイン壁に焦点を当て、ナノ電子プローブを用いた局所構造解析から、分極回転の電子密度分布解析による直接観測を目指している。これまでに遷移金属元素を微小ドープしたBaTiO3の90度分極ドメイン壁からの高精度なデータ取得に成功し、ドメイン壁の幅やその近傍における結晶の乱れについて見出だした。このデータを用いた定量的な解析のために、解析ソフトウェアの開発を行った。ドメイン壁を含んだ超構造の解析のために、われわれのグループで開発している動力学回折ソフトウェアMBFITを改良した。超構造による反射の重ね合わせによって照射領域の情報を組み込み、界面などを含む超構造のプローブ位置依存の強度計算を実現させた。また、対応する実験データを抽出し、現在、定量解析のためのプログラム改良を進めている。超構造の解析では、精密化すべきパラメータが従来よりも格段に増加する。これまでは非線形最小二乗法を使っていたが、容易に局所解に陥ってしまい、真の解を導くことが困難になることが予想される。そこで最適化のルーチンを入れ替え可能なようにソフトウェアに改良を施した。現在は異なる最適化ルーチンの差異や動作の検証を行っている。BaTiO3の分極ドメイン壁は、数nm以上の幅でゆっくりと分極が回転している。そのために解析にはその幅を十分に超えるサイズの超構造が必要であり、最初のターゲットには適さない。そこで別の分極ドメイン壁として、六方晶YMnO3の分極ドメインを選んだ。六方晶YMnO3は、180度の分極ドメインと反位相境界が共存する特殊なドメイン構造を示すことが知られており、その構造を用いたシミュレーションによって、反位相境界が識別可能であることを示した。今後実験データとの比較や、構造最適化を進める予定である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 1 results) Presentation (11 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 1 results)
KENBIKYO
Volume: 58 Issue: 3 Pages: 111-116
10.11410/kenbikyo.58.3_111
Japanese Journal of Applied Physics
Volume: 62 Issue: SM Pages: SM1003-SM1003
10.35848/1347-4065/acde5b
Physical Review B
Volume: 108 Issue: 6
10.1103/physrevb.108.l060104