Realization of high-performance transparent thermoelectric material by intercalating atoms at the functional core interface
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science on Nanoscale Structures and Functions of Crystal Defect Cores |
Project/Area Number |
22H04510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石部 貴史 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50837359)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 熱電変換 / 酸化物半導体 / 透明材料 / 界面制御 / フォノン |
Outline of Research at the Start |
本研究では、窓ガラス等の透明材料の熱源を新ターゲットとして三熱電物性(ゼーベック係数、電気伝導率、熱伝導率)の同時制御を実現し、様々な透明材料に応用できる高性能透明熱電材料を創製することを目的とする。具体的には、欠陥制御した機能コア界面に修飾原子を挿入することで、界面障壁を制御して高エネルギー電子を選択的に透過させ、それと同時に非調和フォノン散乱を促進させて高出力因子、低熱伝導率を実現する。高度制御した機能コア界面形成法に修飾原子挿入技術を融合させた本研究は学術的に独創性の高いものである。さらに、修飾機能コア界面における熱輸送学理構築により、透明熱回路等の新研究分野創出も期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまで研究代表者が培ってきた“界面欠陥密度制御技術”に“非調和フォノン散乱効果”を組み合わせて、電子・フォノン輸送制御した“修飾機能コア界面含有透明熱電薄膜”を創製する。ここでは、薄膜中のドメイン界面に挿入した修飾原子の弱結合由来の非調和フォノン振動が界面熱抵抗を高めて熱伝導率低減をもたらす。また、修飾原子の静電ポテンシャルが界面エネルギー障壁を変調させることによる熱電出力因子増大を狙う。これにより、環境調和型の高性能透明熱電材料を開発するとともに透明薄膜熱電デバイスの発電能力を検証することを目的とする。 令和4年度、SnO2薄膜中のドメイン界面に対して、様々な修飾原子・分子(硫黄、グラフェン、ZnO)の挿入を行い、修飾機能コア界面を形成した。原子層レベルの極薄ZnO薄膜を挿入した際、バルクSnO2に対して20倍の熱伝導率低減に成功し、目標であった3 W/mK以下の極小熱伝導率を達成した。この低熱伝導率化の理由として、ヘテロ界面でのフォノンのエネルギー状態密度のミスマッチが大きいため、界面フォノン散乱が増強されたことが考えられる。一方で、面白いことに光透過率は70%と先行研究の透明熱電材料(58%)と比較して高かった。これは、ZnOとSnO2の屈折率が近い値であったこと、加えて、表面、界面のラフネスがそれぞれ0.2nm、2-5nmと非常に小さかったことに起因すると考えられる。これにより、従来の透明熱電材料では、ナノ構造を含有させると、熱伝導率は低減されるが、光透過率も低下してしまう問題が生じていたが、本構造により、光透過率を高く保ちつつ、熱伝導率を低減する新しい材料設計指針を示すことに成功したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、令和4年度に、修飾機能コア界面を有する透明熱電薄膜を形成し、熱伝導率3 W/mK以下を達成することを目標としていた。実際、SnO2薄膜中のドメイン界面に対して、様々な修飾原子・分子(硫黄、グラフェン、ZnO)の挿入を行い、修飾機能コア界面を形成した。原子層レベルの極薄ZnO薄膜を挿入した際、目標であった3 W/mK以下の極小熱伝導率を達成した。さらに、当初の計画には無かったが、光透過率制御の面でも新しい材料設計指針に関する知見を得られた。これにより、従来の透明熱電材料では、ナノ構造を含有させると、熱伝導率は低減されるが、光透過率も低下してしまう問題が生じていたが、本構造により、光透過率を高く保ちつつ、熱伝導率を低減する新しい材料設計指針を示すことに成功した。この研究成果は、学術論文誌にも掲載され、客観的にも高い評価が得られた。これらの結果より、順調に研究を遂行できていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、修飾機能コア界面を導入したSnO2薄膜を形成した。原子層レベルの極薄ZnO薄膜を挿入した際、目標であった3 W/mK以下の極小熱伝導率を達成した。修飾原子の密度は、機能コア界面のフォノン散乱確率・界面エネルギー障壁を調整するための重要パラメーターである。今年度は、この修飾機能コア界面の密度を最適化し、さらなる熱伝導率低減と出力因子の増大を実現し、最終的には、この最適化した薄膜のデバイス作製・発電能力検証を行う。 パルスレーザー堆積法により、(1)ドーピングしたエピタキシャル薄膜伝導層(SnO2 or ZnO)を形成する。(2) 硫黄挿入の場合、上記薄膜をNa2S溶液内に浸漬させることによって、エネルギー的に不安定である機能コア界面に修飾原子を挿入する。一方で、異種分子(ZnO or SnO2)挿入の場合、原子層オーダーで成膜することで実現する。また、グラフェンを挿入する場合、あらかじめターゲット原料にグラフェンを混在させておく。 熱伝導率低減を例にとれば、修飾原子密度が低すぎると、非調和的な界面の割合が減少し、高すぎると原子同士の間隔が狭いため個々の原子変位が減少する。このため精密な修飾原子密度の制御が必要となると考えられる。特に、Na2S溶液を用いたウェットプロセスの際、硫化速度が修飾原子密度の制御に直結する。硫化速度は環境温度に依存するので、代表者の所属研究室で所有する-40度まで温調可能な冷凍庫を用いて、反応速度を精密に制御する。このように、修飾原子密度を最適化することで熱伝導率低減と出力因子増大の同時実現に挑戦する。 上記のプロセスにて修飾原子密度を最適化して高熱電性能の薄膜を獲得した後、フォトリソグラフィ、プラズマ反応性エッチングを用いて薄膜熱電デバイスを作製する。最終的に100 μWm-2程度の出力獲得を狙う。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)