Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本申請研究では,水がインターカレーションした3nm膜厚分子膜のボトムアップ合成という水圏材料構築の新手法を基盤として,種々のインターカラントを挿入したハイブリッド二次元材料の自在合成の実現を目指す.分子集合体材料の利点であるデザイン性と柔軟性をもちつつ多点水素結合により無機材料や高分子に匹敵する構造安定性を有するこの二次元膜をホストとし,インターカラントとのハイブリッド化による複合機能の実現までを本研究期間における目標とする.
本年度は,研究代表者がこれまで開発した円錐状フラーレン両親媒性分子の自己集合フラーレンナノフィルム(FF)のSEM支持膜への応用について検討した結果,ナノ材料の三次元構造解析に対する有用性が示されたので以下に結果の概要を示す.SEM解析は表面構造解析の強力な手法であるが,ナノ構造体の三次元解析は支持体の二次電子の影響を強く受ける.本研究では,FFの低い二次電子放出効率をSEM画像の定量解析から明らかにし,観察支持体の二次電子放出によるSEM像観察において,低二次電子放出効率を有するFFを用いることにより背景ノイズを抑制できることを明らかにした.本特性は特に三次元表面構造解析の重要な技術である傾斜SEM解析において効果を発揮する.傾斜時のナノ構造体SEM観察では,試料と支持体との境界付近の情報が失われる現象が見られるが,支持体の二次電子放出を抑制することで,実際にFF上では観察対象となるナノ構造の全体像が明瞭に観察されることを明らかにした.また,FF上では傾斜試料を含め,SEM像において高コントラストな画像が得られることを定量解析により明らかにし,画像解析による粒子判別など,SEMの自動画像処理においてもFFの利用が有効であることが示唆された.本発見は,ナノ構造体の表面構造解析に対する発展に寄与することが期待される.さらに,FFへの他物質のインターカレートによる,FFの電子状態,特にイオン化ポテンシャルのチューニングによって,更に二次電子発生を抑制できることも期待される.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2023 2022 Other
All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results) Remarks (1 results)
https://samurai.nims.go.jp/profiles/harano_koji