Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、低対称かつ巨大な結晶細孔構造を有する多孔性結晶である環状錯体集積型多孔性結晶(Metal-macrocycle framework: MMF)を用いて、その細孔内で不均一性・非対称性に富んだ特異な水和ネットワーク構造を形成させ、水和構造の不均一性・非対称性に基づく物性を明らかにした上で、非対称性を活かした様々な機能化を図ることにより、新たな多孔性水圏材料を開発することを目指して研究を進める。
当該年度は、多孔性結晶Metal-macrocycle framework (MMF)の一次元細孔内に形成された非対称な水クラスターの構造とダイナミクスを精査するとともに、水クラスターが細孔形状に与える影響について検討を進めた。これまでの知見では、細孔内水クラスターの構造はX線回折によって決定されていたことから、水分子の水素原子位置に関する情報を得ることが困難であった。そこで当該年度は、J-PARCにて単結晶中性子回折測定を行なった。結晶サイズの問題から十分な回折強度は得られなかったが、得られた回折像から差フーリエ図を作成して検討を進めている。また、水クラスターのダイナミクスに関する知見を得るため、温度可変X線回折測定を行い、得られたデータを精密に解析した。その結果、細孔壁面との相互作用の違いによって、それぞれの水分子が個性を持って個別のダイナミクスを示すことが示唆された。さらに、水クラスターの中でも細孔内に埋没した水二量体が、細孔形状の安定化に大きく寄与していることを見出した。例えば細孔内の溶媒を交換して同位置に別の溶媒が包接されると、その溶媒分子に応じて細孔形状が自在に膨張・収縮することをX線回折測定より明らかにした。これらの結果は、水二量体が埋没した細孔内ポケットが細孔形状を規定するアロステリックサイトとなり、そこに包接されるゲスト分子がエフェクターとして機能することにより、アロステリック酵素のような柔軟性に基づいて結晶細孔が変形することを示している。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
Volume: 14 Issue: 1 Pages: 4490-4490
10.1038/s41467-023-40091-6
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/8583/