生体高分子の形態不安定性に基づいた水圏機能材料の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Aquatic Functional Materials: Creation of New Materials Science for Environment-Friendly and Active Functions |
Project/Area Number |
22H04532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
桶葭 興資 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (50557577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 生体高分子 / 水 / 形態 / 配向 / 膜 / 界面 / ゲル / 自己組織化 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、生体高分子の形態不安定性を活用した水圏機能材料を作製するとともに、その形態を制御する因子の解明を目指す。我々がこれまでに取り組んできた骨格タンパク質、多糖、核酸などの生体高分子に関する背景(Okeyoshi K, et al: Sci Rep 2015, 5, 9581; Biomacromolecules 2016, 17, 2096; Small 2020, 16, 2001993)を活かし、普遍的な形態制御法を構築する。外部環境の変化に対する「自己集合/分解」の可逆的な形態変化には、生体高分子が持つ階層性の優位点であり、アクチュエータやDDS設計指針に重要である。
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Outline of Annual Research Achievements |
生体組織が水圏環境で様々な機能を発現させていることに鑑みれば、持続可能な社会の実現に向けて、多糖やタンパク質など生体高分子の活用は重要である。我々はこれまでに、各種多糖の水分散系から一軸配向膜を作製し、水蒸気駆動型の運動素子や高い保湿性を有する微粒子状の材料、さらにエネルギー変換材料の設計を進めてきた。本研究では生体高分子が持つ形態不安定性、特に自己集合構造の形態に着目した先端材料への開拓について検討した。以下に具体的内容、意義、およびその重要性を記す。 1. 生体高分子は水圏環境の繊細な変化に対して様々な形態を見せる。特に多糖の自己集合構造に焦点をあて、サブミクロンスケールの形態(ファイバー状、微粒子状など)について明らかにした。また、水/空気の界面が自己集合体の集積・配向に与える影響について、乾燥プロセスに着目して明らかにし、空気中の湿度応答素子など生体高分子を用いた材料設計を提唱した。 2. 水の乾燥によって界面配向させて得た多糖膜の内部構造評価において、領域内の共同研究者らと共に構造解析(XRD, IR)を進めた。空気中の湿度制御下、1 nm 近傍の周期構造に著しい変化が確認され、生体高分子が持つ特徴的な自己集合構造に水分子が出入りすることで、特異的な吸/脱湿が誘起されたと考えられる。 3. さらに高分子膜の構造を詳細に解析した内容について、領域内の計画研究者や公募研究者との議論を進め、湿度制御下における多糖膜の特徴的構造変化について考察した。 上記内容について、国際学会と国内学会含め12件発表、査読付学術論文2報を発表し、活発な議論を通して重要性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な研究業績として、論文発表の査読付学術雑誌2件は本研究の重要な内容を公表するに至った。特に、生体高分子の形態制御に関わる査読付原著論文1件、また、高分子水分散系の重要例として多糖を主題に扱ったレビュー論文1件を発表しており、順調に進んだと言える。今後、より一層の注目度が高まる持続可能な社会に向けて、新しい材料設計基盤が期待される。また、招待講演5件を含めた、国際学会発表8件、および国内学会発表4件を通して活発な議論を重ねた。中でも領域内共同研究に関して論文発表するに至り、水圏機能材料の新学術に精力的に取り組んだ。今年度は、オンライン形式による学会開催が続く中、セッション内の研究者間コミュニケーションを通して、これまでの進捗の重要性を深化させた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、領域内研究者らと様々な先端計測、機能開拓を通して共同研究を進め、ナノ・ミクロ構造を詳細に解析し、本研究を深化させる。特に、水中における生体高分子の形態やその自己組織化を明らかにすることで、高分子膜の吸/脱湿に関する評価を進める。また、分子構造による違いや静電相互作用を考慮し、生体高分子の材料開拓にとって重要な構造・形態を系統的に評価する。これらの研究内容は随時、国内外の学会発表、および査読付論文発表を通して発信する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)