Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
自然界には潮解・吸湿現象を巧みに利用する動物や植物が存在する。一方で人工材料に目を向けると、潮解や吸湿によって材料は液体化し操作性と純度が低下するため、「潮解を防ぐ」という概念が従来の材料学には存在した。すなわち、材料の機能化に潮解・吸湿現象を利用することは新たな機能創発の可能性を秘めているといえる。本研究では特に、加湿下で自己組織化する高分子材料に着目し、どのような主鎖構造、側鎖イオン種、中和度の材料設計が加湿誘起自己組織化に影響を与えるのかを理解する。本研究を通じて、ナノ水圏の形状やサイズ、配向を自在に制御可能な、革新的な水圏機能材料を創製するとともに、材料機能化の新たな学理構築を目指す。
本研究の目的は、潮解・吸湿現象を材料の機能化に取り入れることで、高分子材料の新たな学理を構築するとともに革新的な水圏機能材料を創製することである。具体的には、潮解・吸湿で自己組織化するイオン性高分子材料について理解を深め、ナノメートル周期の水(ナノ水圏)の形状や配向を自在に操作する技術を開発する。令和4年度は、アニオン種の異なるイオン性ポリシロキサンを合成し、吸湿性や自己集合能を評価した。その結果、自己集合の秩序や周期サイズ、湿度応答性が周期表の序列に依存しないことがわかった。塩化物イオンとヨウ化物イオンをもつポリシロキサンよりも、臭化物イオンをもつポリシロキサンの方が自己集合体の形成に由来するX線散乱の強度が高かった。塩化物イオンをもつポリシロキサンに関しては、イオン基の第一水和圏に存在する水分子がイオン基あたり1つであることがテラヘルツ分光の結果からわかり、それ以上の水分子が取り込まれる湿度域では自己集合体は崩壊した。よって、第一水和圏の水分子数が自己集合と密接に関わることが示唆された。令和5年度は、塩化物イオンをもつポリシロキサンのなかで、級数の違いが吸湿性や自己集合にどのような影響を与えるかを評価した。その結果、1級から3級までは、級数が高くなるにつれて自己集合の秩序が向上した。一方で、4級では自己集合構造が観測されず、級数が高いと自己集合しないことが明らかとなった。イオン基周りの嵩高さや静電相互作用がイオン性ポリシロキサンの自己集合に影響を与えることがわかった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Journal Article (12 results) (of which Peer Reviewed: 10 results, Open Access: 3 results) Presentation (19 results) (of which Invited: 15 results)
Plant Phenomics
Volume: 6 Pages: 0162-0162
10.34133/plantphenomics.0162
Langmuir
Volume: 40
塗装工学
Volume: 59 Pages: 118-124
Polym. J.
Volume: 55 Issue: 12 Pages: 1287-1293
10.1038/s41428-023-00832-2
日本接着学会誌
Volume: 59 Pages: 286-294
Crystals
Volume: 13 Issue: 2 Pages: 326-326
10.3390/cryst13020326
Volume: 39 Issue: 1 Pages: 619-626
10.1021/acs.langmuir.2c02950
Journal of Fiber Science and Technology
Volume: 78 Issue: 10 Pages: 169-177
10.2115/fiberst.2022-0021
ACS Applied Polymer Materials
Volume: 4 Issue: 10 Pages: 7054-7060
10.1021/acsapm.2c00859
Macromolecules
Volume: - Issue: 11 Pages: 4313-4319
10.1021/acs.macromol.2c00404
繊維学会誌
Volume: 78 Pages: 424-428