Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究は、軟X線分光法によって得られた実験スペクトルを理論計算と比較することにより、凝縮相の水のミクロに不均一な局所構造を解明する。水圏機能材料として、機能性ポリマーであるPINIPAMおよびNafionと水との相互作用を理論的に解明する。分子動力学計算により水および水溶液ポリマーのモデル構造を構築する。得られたモデルからクラスタ構造を切り出し、密度汎関数法に基づく理論計算を行う。スペクトルの温度依存性、同位体依存性、励起エネルギー依存性を調べ、水の環境や機能について明らかにする。
水の構造およびダイナミクスはその物性と直結しており、水溶液の機能発現を探る鍵の1つである。構造を探るツールとしての軟X線は元素選択的励起が可能であり、励起原子周辺の局所構造の情報を獲得できる。さらに理論モデルと合わせることにより、溶液内の不均一性に基づく分子レベルの明瞭なモデルを構築できる。最近研究代表者は液体エタノール、水の軟X線スペクトル計算を行い、これら液体の局所構造を解明した。本領域研究では、水性機能性ポリマーに対しXAS,RIXSのような軟X線分光によって得られた実験スペクトルを直接理論的に計算する。本年は公募研究として参画した2年度であった。本新学術研究に参加することで新たな共同研究を実施した。A2班の原田先生との共同研究として、エタノール水溶液のRIXS計算を行った。いくつかの濃度に対し分子動力学法によりエタノール水溶液を構築し、得られた構造からクラスタモデルを抽出しRIXS計算を行った。水、エタノールのHOMO準位に対応する530 eV付近のピークに着目する。低濃度においてエタノールの構造変化によるピークシフトが見られる。濃度が濃くなるにつれて徐々に高エネルギー側にシフトし、実験スペクトルの挙動と一致する。エタノール濃度の増加に対し、水素受容体の減少に伴う結合様式の切り替わりが見られた。その他A1班の橋川先生とフラーレン内包水の構造研究、A1班の加藤先生と水処理膜の水和構造、A1班の堀内先生と有機無機複合体結晶中の水の構造などを実施した。研究論文は3報、学会発表は国内学会を3件、国際学会を2件(1件は招待講演)行った。またアウトリーチ活動として、2022, 2023年度にGSC広島において高校生向けに計算化学の講義および演習を行った。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 Other
All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 1 results) Presentation (9 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Invited: 2 results)
Industrial & Engineering Chemistry Research
Volume: 62 Issue: 42 Pages: 16968-16976
10.1021/acs.iecr.3c00784
Molecular Physics
Volume: 121 Issue: 7-8
10.1080/00268976.2023.2170686
Journal of Physics B: Atomic, Molecular and Optical Physics
Volume: 56 Issue: 6 Pages: 065002-065002
10.1088/1361-6455/acbcb4