Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊(0νββ) 探索実験であるKamLAND-Zenとその将来実験で使用するための高圧キセノン液体シンチレータ(XeLS)の開発研究を行う。これまで問題となっていたXe量増加に伴う発光量低下は、波長変換剤を加えることで解決を試みる。また、KamLAND-Zenでは、粒子識別を用いてXe原子核破砕由来のガンマ線背景事象を削減することが重要となる。高圧XeLSの発光時間や散乱が粒子識別性能に大きく影響するため、それらの測定を行う。実データをインプットとした検出器シミュレーションを行い、粒子識別性能を評価することで最適な高圧XeLSを決定する。
本研究は、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索(0νββ)の感度向上を目的として、大型液体シンチレータ検出器における加圧下でのキセノン含有液体シンチレータ(高圧XeLS)の開発を行いました。加圧することでキセノンの溶解度が向上し、検出器のサイズを小さく保ったままキセノンの含有量を増やすことが可能になります。この研究により、高圧環境下での液体シンチレータの発光量および発光時間特性の測定が可能となりました。XeLSおよび高圧XeLSの速い発光成分は、キセノン溶解前より約0.3 nsec短い3.7±0.1 nsecであることが初めて明らかになりました。また、速い成分と遅い成分の比も変化することが確認されました。さらに、岐阜県神岡に建設されているカムランド大型液体シンチレータ検出器においては、従来のデカンとプソイドクメン、PPOの液体シンチレータにBis-MSBを加えることで透明度を向上し、集光量の改善が可能であることが示されました。0νββ崩壊探索におけるバックグラウンドとなる宇宙線ミューオンによってキセノン原子核が破砕されて生成される不安定な長寿命崩壊原子核(LL)の生成量は、加圧しても改善しないことがFLUKAシミュレーション解析により明らかになりました。次に、原子核破砕時に生成される中性子を利用したLLの除去手法を、ニューラルネットワークのポイントネットを用いて開発しました。この手法によるLLの除去効率は加圧によって高まることが示されました。さらに機械学習を用いて、粒子識別を利用した除去手法の開発により、従来のカムランド検出器では約1割の信号を犠牲にして約7割のLLを除去できることが示されました。また、この方法は新たに開発された高圧XeLSに対しても効果的であることが確認されました。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results, Invited: 5 results)