Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
昨今の暗黒物質探索は反跳した原子核を検出する手法で広く行われているが発見に至っておらず、また低質量領域では将来的に太陽ニュートリノ背景事象が探索感度を制限する。NEWAGE実験は到来方向に感度を持つ暗黒物質探索によりこの問題解決を目指している。 ガスTPCを2 次元ストリップ型で読み出すことで反跳原子核飛跡を3次元再構成し、飛跡の方向から太陽ニュートリノの到来方向を推定することで背景事象削減を目指すが、低質量暗黒物質では反跳原子核が短飛程となるため読み出しピッチが探索感度を制限してしまう。本研究ではより微細ピッチのピクセル読み出しガスTPCを開発し、低質量の暗黒物質探索を切り拓いていく。
本研究では、方向に感度をもつ暗黒物質探索のためのピクセル読み出し型ガスTPCを開発することを目的としている。O(100)μmの読み出しピッチの検出器を実現するには、専用の読み出しエレクトロニクスが必要となる。そこで、微細ピクセル型のガスTPC読み出しに対応した読み出しASICを開発し、ガスTPCとしての動作検証を行うことを研究目的としている。当該年度では、開発したASICを搭載した読み出しボードと、Xilinx社製のSoCであるZynqを搭載したボードを用いたASICの性能評価を行った。読み出しに必要なファームウェアとソフトウェアを開発し、ASICが持つ64チャンネルの波形読み出しシステムの評価を行った。それぞれのチャンネルにテスト電荷を入射して、設計通りの波形が取得できることを確認した。波形読み出しが設計値通りの性能で可能であることがわかり、原理的に暗黒物質探索実験での活用が可能であることが示せたため、検出器の開発を開始した。ASICには電極パッドを搭載したインターポーザー基板を接続する必要があった。非常に微細なピッチの配線を要求したため難航したが、設計業者やKEKのE-Sysグループとの議論のもと課題をクリアし、設計まで完了した。一方、暗黒物質探索には陰イオンガスであるSF6を利用する予定だが、その挙動についてのより詳細な検証を平行して進める必要があることがわかった。そのため、試験用のガス検出器を別途用意して検証実験を開始した。本研究ではピクセル検出器を用いた暗黒物質探索のための読み出しシステムの開発を達成し、原理的にに暗黒物質探索実験での活用が可能であることを示した。本研究については、2023年度に関連論文を2件出版した。また国際会議で3件、国内会議で5件 (物理学会含む) の口頭発表をした。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 3 results) Presentation (14 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results, Invited: 1 results)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 2023 Issue: 10 Pages: 1-19
10.1093/ptep/ptad120
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
Volume: 7 Issue: 07 Pages: 061-061
10.1088/1475-7516/2023/07/061
Journal of Instrumentation
Volume: 18 Issue: 06 Pages: C06012-C06012
10.1088/1748-0221/18/06/c06012