Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、神岡付近で発生する雷雲・落雷を電磁場・音波・放射線など多角的な手法で観測し、その情報を神岡地下で行われているニュートリノ実験、暗黒物質探索実験、重力波実験といった様々な世界最先端の宇宙素粒子実験、および気象研究に活用する。例えば、地下実験では非常に微弱な信号や稀過程を探索するため、落雷による突発性雑音や雷雲による接地電位の変動が問題となりうる。そのためこれらをモニターすることは重要である。また近年、雷雲による放射線現象を研究する高エネルギー大気物理学という分野が発展しており、神岡地下実験と組み合わせることで雷雲起因のニュートリノなど新たな発見が得られると期待できる。
2023年度の研究実績は、主に以下の3点である。(1) KAGRAは2023年5月25日から6月21日までの4週間、LIGO-Virgoとの国際共同重力波観測(通称O4a)に参加した。この期間において、Blitzortungのネットワークにて11事象の落雷がKAGRAから300kmの範囲内に検知され、これらをすべてKAGRAの地下施設内の磁力計にて検出した。その内の2事象はKAGRAの重力波チャンネル(主干渉計信号)にもノイズとして検知されたことを確認した。さらにこの落雷磁場雑音を雑音注入試験に見立て、平時における環境磁場雑音の寄与を評価したところ、これが現在のKAGRAの感度よりも十分に小さいことが確認された。現在、この信号を用いて突発性環境雑音を重力波チャンネルの信号から解析的に差し引く手法の開発を進めている。(2) 神岡地上2か所で運用しているインフラサウンドセンサーの信号を用いて、雷鳴による近傍(およそ10km程度)の落雷位置推定を試みた。その結果をBlitzortungによる電磁波(VLF)観測による位置推定結果と比較したところ、約5km程の差異が見られた。現在は今後のより高精度・効率的な観測に向け、インフラサウンドセンサーをさらに2台追加購入し、解析の自動化に取り組んでいる。(3) 本研究にて取得した過去4年間の雨量データおよび3年間の地下水排水量データを整備した。また雨量データから地下水量データを推定するモデル式を提唱し、1週間の遅延時間と1か月の減衰時間によって観測データが比較的良く再現できることを示した。これらのデータを計画研究B01班の地下環境中性子フラックス測定と比較し、議論を行った。また、降雪期における雨量観測が不十分であることを確認したため、新たに積雪計を神岡地上に設置し運用を開始した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results, Invited: 6 results) Remarks (1 results)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 2022 Issue: 11
10.1093/ptep/ptac128
Galaxies
Volume: 10 Issue: 3 Pages: 10-10
10.3390/galaxies10030063
https://www.nao.ac.jp/news/topics/2022/20220210-gwpo.html