Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、準結晶や近似結晶の磁性研究が目覚ましく進展している。Cd6Tb 近似結晶における長距離秩序の発見、Au-Al-Tb 、Au-Si-Tb 1/1 近似結晶における非共線的な磁気構造の解明が進められてきた。非共線的な磁気構造は磁性のみならず電子物性との関連性という点においても興味深いが、このような磁気構造を示す起源は未だに明らかではない。本研究ではこの点を明らかにすべく試料合成と中性子散乱を合わせた系統的な物性研究によって1.近似結晶、準結晶の磁気構造、2.磁気異方性、3.磁気ダイナミクスを明らかにし、近似結晶、準結晶固有の磁性を開拓することを目指す。
準結晶における磁気長距離秩序の発見、1/1近似結晶における非共線的な磁気構造の解明により準結晶・近似結晶においても特異な磁性が発現する期待が高まっている。本研究は、これらの磁気長距離秩序がなぜ発現するのかを中性子散乱によって微視的な観点から明らかにすることを目的とする。特にAu-Ga-Tb、Au-Al-Tb近似結晶に関して磁気構造と磁気励起を詳細に調べた。初年度は磁気構造や結晶場励起のe/a依存性(単位原子当たりの価電子数)を調べ、Tbの磁気モーメントがイジング的な磁気異方性を持つことを明らかにした。二年目ではさらに低エネルギー領域にあると期待される磁気励起の観測を試みた。これまで準結晶や近似結晶において、希土類元素の結晶場励起や希土類元素からなるクラスター内の磁気励起は観測されていたが、磁気長距離秩序にともなう集団励起(スピン波励起)の観測はなされていなかった。本研究ではAu-Al-Tb1/1近似結晶の単結晶試料を用いて中性子非弾性散乱実験を行い、スピン波励起の分散関係を準結晶・近似結晶においてはじめて観測することに成功した。スピン波は線形分散を有する、ギャップレスであるという特徴を示した。本研究により、各々のTbの磁気モーメントはイジング的に振る舞う一方で、Tbの磁気モーメント間の磁気相互作用は異方的ではないことが示唆された。その理論的な解釈はまだ明らかではないが、準結晶・近似結晶における磁気長距離秩序の発現機構を理解する上で重要な実験的成果が得られた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 2 results) Presentation (16 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 3 results)
Materials Today Physics
Volume: 40 Pages: 101321-101321
10.1016/j.mtphys.2023.101321
Journal of Physical Society of Japan
Volume: accepted
Physical Review Materials
Volume: 7 Issue: 5 Pages: 054412-054412
10.1103/physrevmaterials.7.054412
Journal of Physics: Conference Series
Volume: 2461 Issue: 1 Pages: 012015-012015
10.1088/1742-6596/2461/1/012015