Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、世界最高峰のパルス強磁場を用いて、ハイパーマテリアルに潜む機能性の探索、準周期性固有の特性、及び物性の解明、理解を目指す。具体的には、独自の磁気熱量効果測定による準周期性、周期性由来エントロピーの解明・評価、磁場誘起磁気相転移、磁場誘起金属-絶縁体転移、磁場誘起近似結晶-準結晶クロスオーバーの探索、その近傍での特異な電子状態の解明など、新しい観点から研究を展開していく。
本年度は、Au-Al-R (R = Tm, またはYb)準結晶、および1/1近似結晶に対して、パルス磁石を用いた1.4 Kまでの低温、60 Tまでの強磁場領域まで磁化、磁気熱量効果(MCE)の測定を行った。準結晶と近似結晶、Tm系とYb系の違いを明らかにすることや磁場誘起相の発見を目指した。Tm系では近似結晶・準結晶ともにスピングラス基底状態を持ち、明確な違いは観測されていない。Yb系では準結晶にのみ特異な量子臨界現象が現れる。パルス強磁場磁化測定では大きな磁場履歴が観測されたことから、巨大な磁気熱量効果が存在することが分かった。そこで独自の実験手法である磁化と試料温度の同時測定を行った。Au-Al-Tmにおいては、試料が超流動ヘリウム中に置かれた1.4 Kで測定を行うと、最大磁場60 Tでは15 K程度まで温度上昇することが分かった。この磁場範囲ではTm3価で期待される磁化の飽和には至らなかった。断熱条件に近い真空環境で磁気熱量効果を行うと、磁化が増大する20 T付近まで急激に温度が上昇し、その後飽和傾向にあった。この範囲で相転移を示唆する異常は観測されなかった。Au-Al-Ybでは断熱下(等エントロピー過程)磁気熱量効果から、準結晶の方が大きなMCEを示すことが分かった。また、磁場誘起相転移は観測されなかった。MCEの結果を用いて、既報である磁場中、ゼロ磁場中での比熱の結果から、エントロピーの温度依存性を求めるた。Tm系では磁気冷凍材料として提案されている物質と同程度の性能を持つことが分かった。Yb系では準結晶の方が低温までエントロピーが大きいことが分かり、近似結晶より量子揺らぎが発達していることを示唆する。パルス強磁場の準断熱条件を利用したMCE測定がエントロピー評価に有効であることを示せた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 4 results)