Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、原子分解能での走査電子顕微鏡(SEM)法をハイパーマテリアルに適用し、その表面構造の原子レベルでの解析を行う。まず、単原子および2次元原子層物質をもちいた系統的かつ定量的な解析をSEM像の解析を行い、原子分解能SEMの空間分解能およびコントラストの成因を明らかにする。それらの結果を踏まえ、世界で初めてBa-Ti-O系準周期単層膜の構造を原子レベルで明らかにする。また本研究を通じてSEMを原子分解能で表面構造解析ができる手法に進化させ、今後の表面科学研究のブレークスルーを図る。
照射系に収差補正子を搭載した走査透過型電子顕微鏡によりSEM像およびSTEM像の同時観察を行い、SEM像による原子分解イメージングの特性を明らかにすることを目的とした。まずPt, Ag単原子分散試料に対してADF-STEMおよびSE像の同時観察を行ったところ、ADF-STEM像で単原子を表す輝点がみられた位置にSE像でも輝点が確認され、SE像でPtおよびAgの単原子が観察されることが確認できた。ただし明瞭な元素弁別性は確認されなかった。次に単結晶SiおよびSrTiO3に対してADF-STEM像およびSE像の同時観察を行ったところ、ADF像ではSrコラムとTi-Oコラムの像強度に明瞭なコントラストが見られるのに対して、SE像では両コラムの像強度に明瞭なコントラストが見られず、やはり元素依存性が低いことが確認された。また、SE像の強度は、試料がある厚さを超えるとのそれ以上の増加しないこと、像コントラストは試料厚さによらずほぼ一定であることも判明した。これはSE像が表面の浅い領域から放出される2次電子で形成されるためと考えられる。MoS2の[0001]入射でADF-STEM像およびSE像を観察したところ、ADF-STEM像にはMo原子による六方格子が観察されるが、SE像にはMoS2の六員環が観察され、Mo原子だけでなくS原子も観察されることが示唆された。また、2つのMoS2層が[0001]軸の周りに30度回転して積層した領域では、投影構造を示すADF像では12回対称を示し、表面敏感なSE像では6回対称を示すことが確認された。FFTピークの強度比から、表面層は第2層に比べておよそ3倍程度高いコントラストを示すことが確認され、原子分解能2次電子イメージングが表面の原子分解能観察に対して極めて有効な手法であることが判明した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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