Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
希土類系準結晶と近似結晶の結晶場を理論的に解明し、結晶場基底状態の磁気異方性を明らかにする。磁気異方性の効果を取り入れた有効磁気模型を構築し、20面体、近似結晶、準結晶の磁気構造を解明する。
準結晶は周期性をもたず、5回回転対称性などの周期結晶では許されない特有の対称性をもつ。よく知られているように5回回転対称性は結晶の並進対称性と両立しないことから、これまでによく確立している結晶点群のもとでの結晶場の理論が適用できないため、結晶場の理論が存在せず、電子状態の理解を妨げていた。そこで、本研究ではAu-SM-Dy系準結晶(SM=Al, Ga, Si, Ge)および近似結晶の結晶場を点電荷モデルに基づいて理論解析を行った。Tsai型クラスター内のDy原子の周りの局所原子配置について、Dy3+イオンと配位子イオンとの静電相互作用を表す結晶場ハミルトニアンを等価演算子法により全角運動量演算子で定式化した。Dy3+イオンは4f電子が9個の電子配位をもち、フント則によれば全角運動量J=15/2の基底多重項をもつ。配位子のAuイオンとSMイオンの遮蔽された価数の比をパラメーターとして、結晶場ハミルトニアンを対角化し、結晶場エネルギーと固有状態を求めた。さらに、得られた結晶場基底状態を用いて磁気モーメントの主軸、すなわち磁気容易軸を計算した。その結果、AuイオンとSMイオンの価数の比がある敷居値より小さい場合には磁気容易軸はDy原子を含む鏡映面に垂直方向を向くのに対し、閾値より大きい場合には鏡映面内を向くことがわかった。さらに、AuイオンとSMイオンの価数の比が増えるにつれて磁気容易軸が鏡映面内を回転し、擬5回対称軸に近づいていくことがわかった。この結果は、3元化合物Au-SM-Dyの非希土類元素の組成比を変化させることで磁気異方性を制御できる可能性を示唆している。本理論研究により、最近実験で観測されたAu-Ga-Dy系準結晶の強磁性秩序の磁気構造を理解するための理論の礎が築かれた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
Volume: 13 Issue: 1
10.1038/s41598-023-41292-1
Physical Review B
Volume: 108 Issue: 4
10.1103/physrevb.108.045110
固体物理
Volume: 58 Pages: 195-206
Volume: 58 Pages: 241-241
MATERIALS TRANSACTIONS
Volume: 63 Issue: 10 Pages: 1380-1383
10.2320/matertrans.MT-M2022064
Volume: 12 Issue: 1
10.1038/s41598-022-19870-6
10.1038/s41598-022-14796-5
Phys. Rev. B
Volume: 105 Issue: 24
10.1103/physrevb.105.245111
化学と教育
Volume: 70 Pages: 598-603
日本物理学会誌
Volume: 77 Pages: 616-620
Volume: 57 Pages: 616-620
https://www.mns.kyutech.ac.jp/~swata/
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