Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
A03班への理論的貢献を目的として、我々が開発した高精度な機械学習分子シミュレーションを用いて、準結晶の高次元性の解明を目指す。特に、高次元性が顕著に反映されていると長年考えられてきた異常高温比熱の値を定量的に再現する方法を確立する。本研究によって原子が高次元性に由来する追加の自由度方向へ振動していることを直接確認できれば、「異常高温比熱は高次元性に由来するのか」という20年来の大問題を解決したことになる。
本公募研究では、前公募研究において開発した自己学習ハイブリッドモンテカルロ法による準結晶および近似結晶に対する機械学習ニューラルネットワークポテンシャルを用いることで、実際の実験で測定されている高温での比熱をシミュレーションで再現することを試みた。そして、比熱を分子動力学法のエネルギー期待値の揺らぎとして計算することで、これらの物質群における比熱の計算の再現に成功した。準結晶および近似結晶においては、800K以上の高温において比熱が固体で予測されるデュロンプティ則の値3kBを大きく上回ることが報告されており、その原因が準結晶の高次元性と何らかの関わりがあるのではないかと、20年以上議論が続けられていた。本研究では、計画班の木村グループが合成しているAl-Pd-Ruの比熱の実験結果と、同じ物質でのシミュレーションによる比熱の計算結果を直接比較し、比熱が800K以上で大きく上昇する振る舞いを実験とシミュレーションの両方で発見した。また、分子動力学シミュレーションにおけるそれぞれの原子の時間発展を追いかけて調べることにより、ある特定のAl原子が、比熱の増大が現れる温度領域になると急速に固体中を拡散し出すことがわかった。そして、その拡散の経路が、準結晶および近似結晶の高次元モデルと密接な関わりがあることがわかった。具体的には、絶対零度において原子構造を理解するために導入された高次元空間の超原子模型が、有限温度によってその占有率を揺らがせられたと考えた時に出現する仮想Al原子の出現位置と、シミュレーションで得られた拡散経路が完全に一致することがわかった。この結果はPhysical Review Lettersに投稿され、アクセプトされている。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 1 results)
Physical Review Letters
Volume: 132 Issue: 19
10.1103/physrevlett.132.196301
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 92 Issue: 3 Pages: 1-8
10.7566/jpsj.92.034703
Physical Review B
Volume: 106 Issue: 6 Pages: 1-10
10.1103/physrevb.106.064506