原生生物から見出される多様なATG12結合系の比較に基づくその作動原理の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04633
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 寛和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40724349)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | ATG12共有結合系 / 原生生物 / 多様性 / 分子進化 / オートファジー / ユビキチン様タンパク質 / テトラヒメナ / トリパノソーマ / アピコンプレクサ |
Outline of Research at the Start |
オートファジーの遂行に必須な2つのユビキチン様結合系、ATG8およびATG12結合系は全ての真核生物の系統に普遍的に保存されている。しかし、複数の原生生物系統ではATG12結合系に多様性がある。本研究は、'ATG12を欠損するATG12結合系’を持つ生物におけるATG12を代替するタンパク質を同定するとともに、その代替タンパク質がどのようにATG12を模倣しているのかを分子レベルで明らかにする事を目的とする。本研究は、オートファジーの遂行における分子機構の多様性を明らかにすると共に、その比較によりATG12 結合系の作動原理を考察する上で重要な情報を提供する事が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーの遂行に必須な2つのユビキチン様結合系、ATG8およびATG12結合系は全ての真核生物の系統に普遍的に保存されている。しかし、複数の原生生物系統ではATG12結合系に多様性がある。本研究では、ATG12結合系の多様性をより詳細に明らかにするとと もに、すでに明らかになっている’ATG12を欠損するATG12結合系’を持つ生物におけるATG12を代替するタンパク質の同定を目的としている。この代替タンパク質がどのようにATG12を模倣しているのかを分子レベルで明らかにする事で、ATG12として機能するために不可欠な特徴を明らかにする。 令和4年度は、'ATG12を欠損するATG12結合系’を持つ生物として着目したテトラヒメナを研究対象とし、エピトープタグ融合ATG5強制発現テトラヒメナ細胞を作出した。エピトープタグ抗体によるウェスタンブロットにより、ATG5が約15kDaのタンパク質と共有結合していることが実証され、免疫沈降産物のプロテオーム解析から、約15kDaの機能未知タンパク質を同定した。このタンパク質をクエリとした相同性検索からは既知のATG12ホモログはヒットしなかったが、ヒト培養細胞に強制発現させて検証した結果、このタンパク質は典型的なATG12と同様にATG10依存的にATG5と共有結合した。したがって我々は、この機能未知タンパク質をテトラヒメナATG12と結論づけた。 また、ATG12共有結合系に関与する5つのATG (ATG5, ATG7, ATG10, ATG12, ATG16)の全遺伝子を喪失した原生生物群を新たに見出した。これらの原生生物は、ATG8の脂質化反応に果たすATG12-5共有結合体の機能を解析するための新たな研究材料として有用であることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ATG12が同定されなかった生物であるテトラヒメナから、実験的にATG5と共有結合する機能未知タンパク質を同定し、これをテトラヒメナATG12とした。また、ATG12共有結合系に関与する全てのATG遺伝子(ATG5, ATG7, ATG10, ATG12, ATG16)が同定されない原生生物群を見出すことにも成功した。これは、ATG12結合系の多様性のさらなる発見であり、ATG12結合系の機能解析やATG8の脂質化および局在制御機構の解析のための有用な研究材料となることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、令和4年度に同定したTtATG12タンパク質の機能解析を実施する。特に、TtATG12とTtATG5共有結合体のTtATG8に対するE3様酵素活性の確証、およびTtATG12のテトラヒメナ細胞におけるオートファジーに対する機能解析を実施する。現在、E3様活性を確証するための組換えタンパク質精製および、TtATG12をKOしたテトラヒメナ細胞を準備中である。また、TtATG12と典型的なATG12ホモログとの共通点を立体構造から抽出し、ATG12として機能するための普遍的な特徴を、TtATG12と出芽酵母Atg12のキメ ラATG12を用いて検証する計画である。 また、令和4年度に見出したATG12共有結合系をもたない原生生物のATG8結合系の解析を進める。特に、ATG12-5共有結合体によるE3様活性なしでもATG8脂質化が効率的に起こるのかを実験的に検証する。また、AlphaFoldによる立体構造予測および複合体予測をもとに、ATG8結合系の新たな反応機構の解析を計画している。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)