Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
分枝、分岐は細胞壁を有する生物一般の代表的な成長様式の一つで、しばしば周期性を示す。本研究では、周期的な分枝形成の原理の解明を目指す。最近、微小管系輸送モーター・キネシンの1種の変異により、通常は細胞あたり一度に一つしかできない分枝が複数生じ、ヒメツリガネゴケ原糸体の分枝周期性が変調することを見出した。そこで、キネシンにより何が運ばれるかを突き止め、次の仮説を検証する。「キネシンは分枝成長に必要な物質を運び続け他の場所への物質集積を防ぐことで分枝を一箇所だけに限定させる。」
分枝、分岐は植物に限らず細胞壁を有する生物一般の代表的な成長様式の一つであり、しばしば周期性を示す。ヒメツリガネゴケの原糸体の分枝形成に周期性を持たせる鍵分子候補を見出し(微小管系輸送モーター・ARKキネシン)。ARKの変異により通常は細胞あたり一度に一つしかできない分枝が複数生じ、原糸体の分枝周期性が変調した。この表現型は微小管上の輸送活性を失ったARKの発現ではレスキューされなかったこと、また、分枝では微小管の配向が定まっていたことから、次のような仮説が立てられた。すなわち、「周期的な分枝形成の鍵は、ARKが分枝成長に必要な物質を運び続け他の場所への物質集積を防ぐことで分枝を一箇所だけに限定させることである。」本研究ではまず、ヒメツリガネゴケでこの仮説を検証した。ARKキネシンが多様な積荷(細胞核、葉緑体、ミトコンドリアなど)を輸送するトランスポーターであることを見出した。そして、周期性と直接関係のある事象として、ARKによるアクチン制御因子輸送がヒメツリガネゴケ細胞の極性確立や成長に必要であることがわかった。ARKの表現型の一部は、被子植物のARKホモログを発現することでレスキューされたことから、ARKの機能が陸上植物に広く保存されている可能性が示唆された(論文発表:Yoshida et al. 2023)。一方、シロイヌナズナでARKホモログのRNAiノックダウンを試みたが、着目した組織では期待した表現型は認められなかった。陸上植物と祖先を共通に持つ緑藻のハネモでも周期的な分枝形成が認められる。阻害剤を使った実験から、ここにも微小管が関与することを突き止めた。さらに、葉緑体の輸送にも微小管が必須であった。ところが、全ゲノム解読を通じてARKホモログを探索したが見つからず、別の輸送キネシンの存在が示唆された(Ochiai et al. submitted)。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant And Cell Physiology
Volume: 64 Issue: 9 Pages: 1106-1117
10.1093/pcp/pcad074
Nature Plants
Volume: - Issue: 5 Pages: 733-748
10.1038/s41477-023-01397-x
Nature Communications
Volume: 13 Issue: 1 Pages: 2488-2488
10.1038/s41467-022-30239-1
http://bunshi4.bio.nagoya-u.ac.jp/~tenure2/goshima.html