Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本申請課題では、生長相転換過程における茎頂メリステムの形態およびマーカー遺伝子の発現を定量的に追跡することにより、器官形成における周期性およびその変調に関わる分子メカニズムの解明を目指す。特に、内的振動をもたらす植物ホルモン動態と器官原基の発達過程を時空間的に紐付けることにより、メリステムに内在する周期パターンと器官形態の表出の多様性を明らかにする。本研究では、シロイヌナズナのイメージング解析を主軸としたアプローチを推進するとともに、他の植物種へと解析を広げるための遺伝学的基盤の構築を達成する。
メリステムサイズが変動する発生ステージの葉序パターンについて知見を得るため,シロイヌナズナ植物体の経時観察を進めてきた。その結果,野生型では栄養生長期から生殖生長期にかけて,茎頂メリステムの急激なサイズ変化を伴うにも関わらず,側成器官の葉序パターンが連続的に維持されていることが明らかとなった。一方で,茎頂メリステムのサイズが恒常的に大きくなるclv変異体では,一定の割合で葉序が乱れる例が観察されたものの,生長相転換との明確な相関は見出されなかった。以上の観察結果から,シロイヌナズナの葉序形成パターンは異なる発生ステージを通じて維持されていること,この堅牢なパターン制御機構にはメリステムサイズの適切な制御が関与していることが示唆された。葉序表出パターンの堅牢性を維持するメカニズムを明らかにするため,現在内的振動をもたらす植物ホルモン動態の解析進めた。我々はこれまでに,日長シフト条件におけるシロイヌナズナの花成において,ドーミングにともなうジベレリンの代謝変化を報告してきた(Kinoshita et al., 2020, eLife)。また,予備的な解析結果として,サイトカイニンシグナルのレポーターマーカーであるTCSn::GFPの発現や幹細胞のアイデンティティを規定するWUSの発現がドーミングにともない茎頂メリステムの髄状部側に拡大することを確認している。さらに,オーキシンシグナルのレポーターマーカーであるDR5rev::3xVENUSについて花成の前後で発現パターンが変化することを見出しており,このような植物ホルモン動態のダイナミックな変化が,茎頂メリステムのサイズ変化や葉序パターンの安定性に寄与する可能性が示唆された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 2 results) Presentation (2 results)
FEBS Letters
Volume: 597 Issue: 3 Pages: 407-417
10.1002/1873-3468.14570
BSJ-Review
Volume: 13 Issue: B Pages: 99-112
10.24480/bsj-review.13b7.00230
植物の生長調節
Volume: 57 Pages: 114-122