Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
酵素が化学反応を効果的かつ特異的に進めるには,触媒各段階における活性部位環境の最適化が必須であり,これにより活性化エネルギーの低減,反応特異性などが可能となる.タンパク質のダイナミクスに基づくこれらの視点は,触媒反応を解明するうえで,今後さらに重要性を増すと考えられるが,現時点では,高速で切り替わる各触媒過程を精密に観測することは難しく,抜本的新規測定法の確立が必要となる.本研究では土壌細菌由来の銅含有アミン酸化酵素(AGAO)について,微結晶溶液と基質溶液の二液混合時分割SFX測定を行う.得られたデータに計算化学などの解析結果を加え,酵素触媒の極めて速い反応過程を可視化する.
本研究では土壌細菌由来の銅含有アミン酸化酵素(AGAO)について,微結晶溶液と基質溶液の二液混合時分割シリアルフェムト秒結晶構造解析(SFX)を行い,反応時間軸に沿った様々な構造情報を得る.得られた知見により,これまで未解明であった,本酵素の触媒過程の各段階における活性部位環境の最適化,およびそれに基づく反応促進機構の詳細を明らかにすることを目指す.これまでに試料調製および測定条件をほぼ確立し,実際のSFX測定を開始している.昨年度までに反応後半の構造変化をとらえることに成功したため,本年度は,これまでとは測定条件を変える(測定を至適pHであるpH 9よりも低pH条件で測定を行う)ことにより,反応初期段階の構造変化を捉えることを試みた.試料であるAGAOは,大腸菌を宿主として発現し精製し,微結晶は,ミクロシーディング法とバッチ法を組み合わせることにより得た.リキットジェット法を用いた微結晶液と基質溶液の二液混合SFX測定はSACLA BL2にて実施した.各測定条件とも50000 - 70000枚程度のイメージファイルに対しindexを付けることに成功した.上記の積分したデータを用いて,これまでに放射光X線を用いて決定した構造(3WA2)を用いて分子置換及び精密化を行い,補酵素TPQ及び,生成物であるフェニルアセトアルデヒドについてオミットマップを描き,反応中間体の同定を行ったところ,反応時間軸に沿った様々な構造変化を確認することができた.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 3 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 3 results)
ACS Catalysis
Volume: 13 Issue: 18 Pages: 12403-12413
10.1021/acscatal.3c02629
Acta Crystallographica Section D Structural Biology
Volume: 78 Issue: 12 Pages: 1428-1438
10.1107/s2059798322010385
Chemical Science
Volume: 13 Issue: 36 Pages: 10923-10938
10.1039/d2sc01356h
IUCrJ
Volume: 9 Issue: 3 Pages: 342-348
10.1107/s2052252522003657