Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
外部環境にやみくもに過度に適応したり、全く適応できなかったりすると、心身に不調をきたすなどして、多くの場合、生活の質は低下する。自己の多様性を維持しつつ、“適度に適応する”ことが生活の質を高める上で重要になると考えられる。外部環境への“適度な適応”の神経基盤を解明し、適度な適応から逸脱した場合の克服を目指す。
本研究では、外部環境の変化、特に提示する視覚刺激を多様に変化させた時に、脳はどのように適応するのか、そして、この適応メカニズムは、適応レベルの異なる、自閉症の発達特性やストレス負荷によって、どのように修飾されるのかを明らかにする。単一細胞、単一脳領野内の細胞ペア、多細胞間、そして、多脳領野間の多次元にわたる神経活動がどのように変化することで、知覚レベルでの外部環境への適度な適応を実現しているのかを理解することを目指すものである。令和5年度は、課題の難易度によってストレス負荷をかけた時に視覚弁別はどのような影響を受けるのかを調べた。タッチパネルオペラント実験装置を用いて、自由行動下のラットに縦縞と横縞を区別する視覚弁別課題を学習させた後に、縞の回転角度の大きさによって難易度の異なるブロックを設けて、一定時間ごとに切り替えた。各ブロックは、異なる周波数の純音を提示して明示的に区別した。各ブロックに含まれる同じ回転角度の同じ難易度の課題に対する正答率は、簡単なブロックと難しいブロックとで異なるような傾向が観察された。次に、自閉症の発達特性が視覚弁別に与える影響を調べるために、妊娠ラットに抗てんかん薬のバルプロ酸を投与することで、自閉症のモデルラットを作製した。3チャンバー試験の結果、バルプロ酸投与で社会性の低下が観察された。本年度で、研究期間は終了したが、引き続き、これらの実験系を用いて、視覚刺激の多様性に対する視知覚の適応の違いを調べ、さらに神経活動を記録して適度な適応の神経基盤を理解したい。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 5 results)
Neuroscience Research
Volume: 195 Pages: 1-8
10.1016/j.neures.2023.05.002