Neural mechanisms of postural stabilization based on EEG response to micro-falls during human quiet stance
Publicly Offered Research
Project Area | Hyper-adaptability for overcoming body-brain dysfunction: Integrated empirical and system theoretical approaches |
Project/Area Number |
22H04775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 泰伸 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (50283734)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 大脳基底核 / 小脳 / 脳波 / 間欠制御 / 姿勢制御 / 運動関連脳波 / ベータリバウンド / 離散運動 / β波 / βリバウンド / パーキンソン病 |
Outline of Research at the Start |
従来、ヒト静止立位姿勢はアキレス腱の高剛性と抗重力筋の持続的緊張および静止立位姿勢動揺の中で繰り返し発生する前方への微小転倒に伴う筋伸張が引き起こす伸張反射・遠心性収縮が生成する復元力により安定化されると考えられて来た。ところが近年、ふくらはぎ筋は微小転倒時には短縮し、それに引き続いて姿勢が直立平衡姿勢に向かって復帰する微小回復過程で弛緩・伸張することが明らかにされた。我々は従来仮説に反する逆説的筋短縮の理論的生成機序となる間欠制御仮説を提唱した。本研究では、静止立位中の脳波を計測・解析することで、間欠制御の脳内メカニズムを解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本新学術領域の第1期公募研究では、間欠制御の脳内メカニズムの解明を目指し、立位床面後方移動外乱に対する健常者の立位姿勢・脳波・筋電図応答を解析した。その結果、外乱により前方転倒させられた姿勢が直立平衡姿勢に向かう回復過程で数秒間に渡って発生する立位姿勢βリバウンド(脳波β帯域事象関連同期)を世界に先駆けて同定した。本第2期研究は、この立位姿勢βリバウンドが、外乱応答時のみならず、静止立位姿勢動揺中の微小回復過程においても発生するという仮説を立て、その検証を目指す。間欠制御モデルによれば、微小回復過程は脳が運動指令のスイッチをオフにすることを選択する時間帯なので、静止立位姿勢時にもβリバウンドが存在し、かつ、微小回復過程の発生とβリバウンドの発生のタイミングが一致することが示されれば、運動指令のスイッチをオフにすることを選択するための脳内情報処理過程がβリバウンドとして表出していることを示唆できる。 2022年度は、若年健常者を研究対象として、静止立位時の姿勢動揺、筋電図、脳波を計測し、得られた時系列から微小転倒とそれに引き続く微小回復過程からなる転倒-回復サイクルを切り出した。得られたエポックをタイムワープ手法を用いて転倒-回復サイクルのデータ長を標準化して同期加算をすることで、サイクル内に生じる脳波同期性の微小な変化をとらえた。その結果、静止立位姿勢時においても、微小回復過程の後半にβリバウンドが発生することを世界に先駆けて明らにした。さらに、微小転倒速度が最大となる直前に広い周波数帯域で同期現象が発生すること、およびその直後にβ帯域脱同期が発生することも示した。この結果は、個々の微小転倒-回復サイクル毎に脳による運動指令が区切られていることを意味し、立位姿勢が間欠制御によって安定化されているとする我々の仮説を支持する。本研究成果は、国際英文論文誌に投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
随意運動や外乱に対する運動応答に伴う脳波と異なり、静止立位姿勢時の身体の動きは小さく、それに伴う姿勢制御のためも筋活動も小さいため、姿勢動揺に随伴する脳活動の同期性、脱同期性を定量的にとらえることは困難であり、必ずしも仮説検証が成功するとは限らなかった。それにも関わらず、データ数を増やし、異なる時間スケール、すなわち、短い転倒-回復サイクルに随伴する脳活動と長い転倒-回復サイクルに随伴する脳活動をタイムワープによって同期加算すること等で、微小な姿勢動揺に随伴する脳活動同期性の変化を世界に先駆けて捉えることができたのは大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、パーキンソン病患者の微小転倒・微小回復過程の脳波を計測・解析する計画である。我々はパーキンソン病患者の微小回復過程のβリバウンド強度の低下あるいは消失を予想している。元来、βリバウンドは、大脳・基底核ループ(直接路・間接路)の機能と絡め、手・指随意運動のGo/NoGo課題(行動選択課題)において研究されており、そこでは,パーキンソン病患者のβリバウンド減弱が報告されている。もし、パーキンソン病患者の立位姿勢βリバウンドが減弱・消失するならば、それはGo/NoGo課題での知見とも符合する。さらに、姿勢制御に関する運動指令のスイッチオフを「自動的に選択する」こととGo/NoGo課題でNoGoを「随意的に選択する」ことを同一視すれば、パーキンソン病患者の立位姿勢βリバウンドの減弱は、パーキンソン病患者の姿勢制御における間欠性の欠如とも符合する。このシナリオは、静止立位姿勢の間欠制御において能動的制御のスイッチオフを選択するメカニズムに基底核が関与していることを意味するが、このシナリオの妥当性は、姿勢機能が低下した患者の脳活動と健常者の脳活動の比較することで示すことができる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)