Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
我々は未知の環境に対して試行錯誤的な振る舞いをとることで,その結果として得られる限られた情報から環境への適応を効率的に実現することができる。そのような探索的な適応機能はメタ強化学習としてモデル化が可能であり,近年のAI研究では身体欠損を伴う身体ダイナミクスの変化に対しても素早く適応し,新たな運動機能が獲得されることが報告されている。そこで本研究では,試行錯誤的な探索行動に基づく適応機構を探索的適応として定義し,それが超適応の一端を担う脳の計算機構であると考える。そして,その神経基盤を明らかにするために,視覚運動学習を対象としたfMRI実験による脳機能画像および計算論の両面からアプローチする。
我々は未知の環境に対して試行錯誤的な振る舞いをとることで、その行動の結果として得られる限られた情報を基に効率的な環境への適応を実現している。本研究では、そのような試行錯誤的な探索行動に基づく適応機構を探索的適応として定義し、それを実現する神経基盤の解明を目的とする。そのために、視覚運動学習における回転座標変換課題を対象に、fMRIによる課題遂行中の脳活動から、課題遂行時に発生する探索的適応をメタ強化学習としてモデル化する。そして、脳活動をモデルによる推定結果に基づいて分析することで、探索的適応を実現している脳内ネットワークの同定を目指す。今年度の成果として、昨年度に同定した探索的適応を実現する脳内ネットワークに対する神経回路モデルを構築した。構築した神経回路モデルは、LSTMと呼ばれるリカレント型の回路モデルによって構成されており、深層強化学習によって学習することで、シミュレーションによってfMRI実験で得られた行動データを高精度に再現することができた。今後、構築された神経回路モデルを用いることで、より詳細な神経基盤が明らかになると考えられる。加えて、運動技能の獲得のために、拡張現実感技術(AR)を用いた新たな訓練手法を開発し、ダーツを用いた実験によってその有効性を明らかにした。開発した訓練手法を用いることで、訓練後にダーツ技能が向上することが明らかとなった。さらに、ARを用いた訓練時には、運動時に発生する運動ノイズ全体の大きさには変化はないものの、運動ノイズに含まれる探索ノイズの成分が増加していることが示唆された。探索ノイズは運動計画の更新に関与するものである。したがって、ARを用いた訓練によって探索的適応が促進された可能性があり、本成果は、運動技能の向上を自発的に誘発させる新たな訓練手法につながると考えられる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Scientific Reports
Volume: 14 Issue: 1 Pages: 1-9
10.1038/s41598-024-51190-9
IEEE Access
Volume: 11 Pages: 64738-64744
10.1109/access.2023.3289711