蛍光動的消光測定による生細胞内RNA立体構造の情報物理解析
Publicly Offered Research
Project Area | Information physics of living matters |
Project/Area Number |
22H04826
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 朗 北海道大学, 先端生命科学研究院, 講師 (10580152)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | RNA / 蛍光相関分光法 / 熱力学的安定性 / 生細胞イメージング |
Outline of Research at the Start |
ブリンキングによりジャギーな(理論モデルに対して残差の大きな変化を伴う)自己相関関数に対し,精度の高い非線形フィッティングを行う新規解析手法を確立した上で,立体構造を形成することが知られているRNA配列を選択し,蛍光分子内異性化速度の変化によりRNA立体構造変化を読み取るFCS測定系を樹立する.さらに,生細胞内に導入した蛍光標識RNAのFCS解析により,生細胞内においてRNAは溶液と同様の熱力学的に安定な立体構造を有するかという問題点を解明する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
生体分子の一つであるRNAの立体構造を生きた細胞内で測定・解析可能な刑を構築し,分子の構造安定性や構造変化を明らかにするために,RNAの特殊構造としてグアニン四重鎖 (G-quadruplex, 以下Gq)に着目した.この生細胞内立体構造を,RNAに標識したシアニン蛍光色素の光異性化状態の変化(蛍光ブリンキングの速度変化として計測される)を読みだすこ新規手法を開発した.具体的には,励起光を高速変調させたレーザー光源と,その高速変調の度合いにより生ずる発光強度変化をプロットすることにより,蛍光ブリンキングの時定数と割合が求まる.さらに適切なモデル関数を用いて非線形フィッティングすることにより,光物理反応速度定数を算出することも可能となった.この結果は,核酸科学・分子生物学で著名なNucleic Acids Reaserch誌に掲載された. またGqの立体構造検出について,上述とは異なる蛍光色素の光物理過程を経るものを検討,確立できた.さらに,Gq以外の配列にかんしても,立体構造変化を検出するための系を確立することができた(投稿準備中). さらに,光励起により活性酸素種を産生する蛍光タンパク質の光物理過程,具体的には項間交差,光異性化,三重項緩和の各家庭に関する速度定数を測定し,その励起波長依存性から,活性酸素種を効率よく産生する条件を速度論的に導出することに成功した.また,緑色蛍光タンパク質GFPが粘性に応答して蛍光寿命が短くことにより,細胞内クラウディングの指標になることを発見した[preprint公開済・投稿中].これらの成果は,蛍光ブリンキングの測定が様々な応用可能性を持っていることを実証するとともに,その基礎科学的な検証結果を提示することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
RNAの特殊構造としてグアニン四重鎖 (G-quadruplex, 以下Gq)が知られているが,この生細胞内立体構造を,蛍光ブリンキングから計測する新規手法を開発し,核酸科学・分子生物学で著名なNucleic Acids Reaserch誌に掲載された.本研究は当該課題の根幹をなすものであり,また著名な雑誌に掲載されたことから,当初の計画以上に進んだものと考える.またGqの立体構造検出について,上述とは異なる蛍光色素の光物理過程を経るものを検討,確立できた.さらに,Gq以外の配列にかんしても,立体構造変化を検出するための系を確立することができた(投稿準備中).以上より,当初の計画以上に進展があったと考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に当初の計画以上の進展があったことから,令和5年度は実際の蛍光ブリンキングを測定する手法の新規構築へと進ませる.具体的には,これまでスウェーデン王立工科大学にしかなかったTRAST測定装置を所属機関内で構築する.この構築のために,顕微鏡やデジタルカメラ,シャッター,励起光源などの総括制御が必要となることから,必要な部品の選定,駆動系のプログラム構築とその統合システムの構築を進める.また一分子蛍光の直接観察も行うことで,蛍光相関分光法およびTRAST法により得られた結果を一分子測定により検証することにより,生体分子構造変化および生体分子間相互作用についてさらに高度な情報物理解析を行う.
|
Report
(1 results)
Research Products
(28 results)