Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
大脳皮質の神経細胞は高頻度に活動する細胞から低頻度に活動する細胞まで様々である。本研究では高頻度に活動する細胞が互いにシナプス結合を形成しており、その神経細胞集団で形成されるネットワークが脳内の情報を表現する主要回路だと仮説を立てる。本研究では2光子顕微鏡によるカルシウムイメージング(神経活動記録)と樹状突起スパインの形態観察を組み合わせることで、生きた動物脳で仮説検証を試みる。
大脳皮質の神経細胞は低頻度に活動する細胞から高頻度に活動する細胞まで様々である。このとき神経活動に関する統計量(平均発火率など)の分布を調べるとガウス分布ではなく、非対称性な裾の重い分布に従うことが報告されている。本研究は分布の裾に存在する高頻度に活動する細胞(本課題では高発火レア細胞と命名した)群に焦点を当てて、脳内の感覚の情報表現の理解を目指した。高発火レア細胞の存在確率は数パーセント程度であるため、高発火レア細胞を探し出すためには同一個体から可能な限り多くの神経細胞の活動を計測すると効率が良い。そのためImage stitchingを利用したin vivo 2光子カルシウムイメージングのシステムを立ち上げた。これは電動ステージ上に頭部固定したマウスを対物レンズ下に設置し、1試行ごとにステージ位置を移動させて異なる脳領域を撮像するシステムである。電動ステージ上に刺激装置も併せて設置することで、ステージ位置に依存せずに一定の感覚刺激を与えられるように設計した。また、隣接視野をオーバーラップして撮像し、そのオーバーラップ領域における互いの輝度分布の相互情報量を最大化することで滑らかに画像を連結するアルゴリズムも開発した。同時に観察できる脳領域を広げるために低倍の2光子レンズを利用した。1試行で観察できる視野はおよそ940 μm x 940 μmとなり、9(=3×3)つの異なる視野から各15試行の観察を行った。このとき全結合した視野は2.7 mm x 2.7 mm程度となり、体性感覚野バレル皮質を中心とした領域、また聴覚野や連合野を含む側頭脳領域から数千以上の神経細胞から活動を抽出できることを確認した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。