Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
血管内皮では、血流に起因するずり応力が常に加わっており、循環器の発生や血管の恒常性維持に不可欠である。本研究は、ずり応力制御系と高精度蛍光ライブイメージングを組み合わせ、培養細胞を観察対象として、ずり応力の力学的情報伝達機構の解明を目指す。本研究成果は、外力による分子勾配形成を介した新規の力学的情報伝達機構を明らかにすることで、重要な未解決課題であるずり応力方向感知機構の解明に繋がることが期待される。
生体において、細胞を取り囲む微小環境と細胞の力学的相互作用は、器官形成や組織の生理機能に必須であるとともに、疾病の進行に影響する。このため、細胞と微小環境との力学的情報伝達機構の解明は、生物学、医学上の重要課題である。本研究では、細胞内外の力の動態をリアルタイム・高解像度で捉える手段として蛍光単分子スペックル顕微鏡を応用し、細胞を取り囲む微小環境と細胞の力学的相互作用を明らかにすることを目的として研究を行った。接着斑分子タリン(Talin)は、細胞接着分子インテグリンとアクチン線維を連結する。タリンの分子挙動を詳細に可視化解析した結果、タリンによるアクチン線維とインテグリンの連結に伴いアクチン流動の牽引が引き起こすタリン分子の構造変化(~140 nm)を捉えることに成功した。さらに、分子動態の統計解析より、タリンが一過的にアクチン線維とインテグリンを連結する過程の連結・解離キネティクスを明らかにした。さらに、米国リーハイ大学物理学のDimitrious Vavylonis 博士の研究グループとの共同研究により、タリン分子の構造変化の力伝達における寄与をシミュレーション解析により明らかにした。これらの研究成果より、タリン分子のメカニカル・アンフォールディングが細胞内流動力を細胞外基質に伝達する新しい力伝達機構を解明し、国際誌に学術論文として発表した (Yamashiro et al., Nature Communications, 2023)。さらに、アメリカ物理学会大会 (American Physical Society March Meeting, 2023)で招待講演を行うなど、国内外の学会・研究集会で成果発表を行なっている。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 Other
All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (11 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 6 results) Remarks (2 results)
Nature Communications
Volume: 14 Issue: 1 Pages: 8468-8468
10.1038/s41467-023-44018-z
eLife
Volume: 11
10.7554/elife.69031
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-01-12-2
https://www.kyoto-u.ac.jp/en/research-news/2024-02-05