頭部間コミュニケーションを導入したキネシンの数理モデル構築とパラメータ定量
Publicly Offered Research
Project Area | Information physics of living matters |
Project/Area Number |
22H04846
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
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Research Institution | Osaka University (2023) Yamaguchi University (2022) |
Principal Investigator |
有賀 隆行 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (30452262)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 生体分子モーター / エネルギー変換 / 1分子計測・操作 / 非平衡物理学 / 生物物理 |
Outline of Research at the Start |
生体分子モーターはゆらぎの中から効率よくエネルギーを利用すると言われてきたが、その定量的な理解には至っていない。一方これまでの研究で、分子モーター・キネシンは入力された多くの自由エネルギーを分子の内部で散逸していると示唆された。ゆらぎの中から仕事を取り出す分子モーターの効率の理解には、情報物理学の視点が必要である。そこで本研究では、これまでに構築した現象論的なキネシンの数理モデルをさらに拡張し、頭部間コミュニケーションを導入したキネシンの数理モデルを構築することで、分子内部での情報の流れの可視化を目指す。そして、変異体キネシンを用いた各種計測結果との比較を通じてモデルの検証を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
生体分子モーターはゆらぎの中から効率よくエネルギーを利用すると言われてきたが、その定量的な理解には至っていない。一方これまでの研究で、分子モーター・キネシンは入力された多くの自由エネルギーを分子の内部で散逸していると示唆された。ゆらぎの中から仕事を取り出す分子モーターの効率の理解には、情報物理学の視点が必要である。そこで本研究では、これまでに構築した現象論的なキネシンの数理モデルをさらに拡張し、頭部間コミュニケーションを導入したキネシンの数理モデルを構築することで、分子内部での情報の流れの可視化を目指して研究を行ってきた。 これまでの研究で、キネシンの二つの頭部を独立に動かすように拡張されたキネシンの数理モデルを構築した。さらにそのパラメータ取得に必要となる蛍光1分子計測系の立ち上げを行い、まずは単純な蛍光一分子が計測できることを確認した。本年度はこの計測系をさらに洗練させ、1分子キネシンの、無負荷時の運動パラメータの定量を行った。並行して、これまでに用いていたキネシン1とは別種のキネシンであるKIF1Aのダイマーコンストラクトを精製・変異導入を行い、その運動観察も行った。 アウトプットとしては、1件の国際会議での招待講演と、2件の国内招待講演に加えて、これまでの進展をまとめた総説論文と、雑誌記事の出版を行った。 今後はこれらの計測結果と数理モデルの比較検討を行い、内部コミュニケーションとエネルギーや情報の流れの可視化を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった変異体キネシンによる計測と数理モデルとの比較検討についてはやや遅れている一方で、予定外の進展としてKIF1Aという新しいコンストラクトの導入と基礎的な計測データの取得を行うことができた。これらの複数種類のキネシンを用いることで、どのような違いが機能に反映されているのか、あるいはキネシンの種類を超えた普遍的な仕組みが存在するのかといった新たな問題へのアプローチが可能となったため、総体としてはおおむね順調に進展しているという自己評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、変異体キネシン1およびKIF1Aを用いた各種計測結果と、双頭構造へと拡張されたキネシン数理モデルによるシミュレーション結果との比較を行い、モデルの検証を行うと同時に分子内コミュニケーションの定量を試みる。分子内コミュニケーションの定量手法としては、近年確立された情報熱力学を分子モーターに適用し、各頭部の各素反応状態における相互情報量として定量化する手法を試みる予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)