Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
微生物生態機能の研究を阻害する大きな要因として、微生物の種内多様性の高さを挙げることができる。同一種ないし系統的に極めて近縁な微生物(菌株)同士であっても、保有遺伝子や表現型が大きく異なることも多い。本研究では、メタゲノム情報を利用して、難培養性微生物を含む多様な微生物の種内多様性を評価する生物情報学的手法を確立する。また、その手法を現実の土壌メタゲノムデータに適用し、種間多様性・種内多様性を切り分けた生態系モデルを構築することを目指す。
本領域の主な研究対象である難培養微生物の多様性を明らかにする上で極めて重要なのが、Metagenome-assembeld genomeである。超並列シーケンサーを用いたショットガンメタゲノムデータから構築されたMetagenome-assembled genomeは微生物の多様性・機能についての知見を急速に押し広げてきた。他方、Metagenome-assembeld genomeの構築は情報科学的に高コストかつ複雑な操作であり、その解釈には慎重を期する必要がある。例えば、反復配列やマルチコピーの配列はゲノムアセンブリ(塩基配列の繋ぎ合わせ)の誤りを誘発すること、CRISPRなどの外来性配列はビニング(繋ぎ合わせた塩基配列の分類・クラスタリング)に困難をきたすことが知られている。以上の背景を踏まえ、今年度は、Metagenome-assembeld genomeに潜在するバイアスを丁寧に評価した。公共データベースから取得したMetagenome-assembeld genome 約19万個、Single-cell amplified genome 約2万個、単離菌株ゲノム約3000個を解析したところ、反復配列でも外来配列でもないリボソームタンパク質遺伝子もまた、Metagenome-assembled genome構築の大きな障害となっていることを発見した。さらに、ビニングアルゴリズムが前提とするバクテリアゲノムの一般的性質を、リボソームタンパク質遺伝子(の一部)はそもそもそなえておらず、そのことがMetagenome-assembled genome構築を妨げていることが見出された。以上の知見を反映させつつ、本研究で提案するメタゲノム解析のパイプラインを構築した。
1: Research has progressed more than it was originally planned.
当初予定していたデータ解析のパイプラインは概ね構築できている。また、その過程で予定外の発見があり、データ解析の一層の精緻化につなげることができた。
構築したパイプラインを複雑な生態系データに適用する。第一に、この手法のproof-of-conceptに適したメタゲノムデータセットを収集し、または自ら取得する。第二に、取得したデータに上記手法を適用する。
All 2023 2022
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 2 results) Presentation (3 results)
ISME Communications
Volume: 2 Issue: 1 Pages: 118-118
10.1038/s43705-022-00204-6
bioRxiv
Volume: -
10.1101/2022.12.09.519847