Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
精神疾患の生涯有病率は18%であるため、精神疾患へのスティグマは当事者・家族だけでなく、広く一般市民に影響をおよぼす。精神疾患は外見から判断するのが比較的難しいため、スティグマ形成にメタ認知などの高次認知機能がより必要とされ、思春期発達とともに議論されてきた。本研究では精神疾患へのスティグマ形成過程を思春期本人に加え世帯構成員の調査によって解明することを目的とし、当該研究領域のコンセプトである個体―個体相互作用ループ、個体―世界相互作用ループを統計学的に解くとともに、法則性と物語性、内在化と当事者化を用いた精神疾患へのスティグマ形成過程を説明するモデルを提唱する。
本研究では精神疾患へのスティグマ形成過程を解明することを目的とし、population neuroscience Tokyo TEEN Cohort (pn-TTC) およびTTC世帯全員調査の縦断データを用いて、個体―個体相互作用ループ、個体―世界相互作用ループを統計学的に解くとともに、当該研究領域のコンセプトである法則性と物語性、内在化と当事者化を用いて精神疾患へのスティグマ形成過程を説明するモデルを提唱することを目的とした。本年度はおおむね計画通り進捗し、pn-TTCで実施した世帯全員調査(380世帯、のべ1,201名)を用いて、RIBS-J future score(精神疾患へのスティグマ意図)を世帯内で検討したところ、父>母>子(および兄姉)の順でスティグマが高いことを示し、母子内での相関が最も強く、父子間では相関がみられないことを見出した。一方、「多くの人は、将来、メンタルヘルスの問題を抱えている人と働いてもよいと思っている」という第三者視点での聴取法では、家族構成員間の相関関係はほとんど見られなかった。この指標とRIBS-J future scoreとの関連はr=0.3程度と正の相関であったにもかかわらず、精神疾患の身近な体験(家族構成員、近隣住民、友人の精神疾患の体験)がある場合、RIBS-J futureではスティグマが下がる傾向、第三者視点では上がる傾向と、逆の関連を見出した。こうした相関関係は属性(つまり、本人、母、父、兄姉)で変化することなく、一貫した傾向であった。以上の横断研究成果から、身近な精神疾患の体験という「世界」について、「個体」がどうふるまうのかと、他の個体(これもすなわち世界)がどのように動いているのかを認知する様式が、思春期から一貫して備わっていることを示唆した。今後この関係を縦断データで明らかにしていく。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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BMC Psychiatry
Volume: 23 Issue: 1 Pages: 882-882
10.1186/s12888-023-05386-4
Scientific Reports
Volume: 12 Issue: 1
10.1038/s41598-022-16438-2
http://klab.c.u-tokyo.ac.jp/