多数派・非当事者状態へと引き込む心的ダイナミクスの法則化
Publicly Offered Research
Project Area | Human behavioral science for subjectification ("tojisha-ka") by interaction-based & rule-/story-based understanding of the brain & the world |
Project/Area Number |
22H05220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
入江 駿 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60918887)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 存在感 / 対人コミュニケーション / 当事者化 / 共同サイモン効果 / コミュニケーション |
Outline of Research at the Start |
多数派・少数派の分断を解消し、人々が少数派の知・方法を理解すること(当事者化)は、少数派の人々が生きやすいインクルーシブ社会の実現のみならず、将来的に、「多数派」社会が抱える様々な困難を解決するために極めて重要である。しかしながら、多くの人間は、「多数派」に属することに安住してしまい、この分断に目を向けられない現状がある。
そこで、本研究では、実験心理学、神経科学的な手法を用いて、人々が「多数派」に安住してしまうメカニズムを解明し、「多数派」から脱し、当事者化する方法論を確立させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、多数派・少数派の分断に際して作用すると仮定した、ヒト間で作用する心的ダイナミクスについて、実験心理学及び神経科学的な分析を行った。 実験心理学的分析では、ヒト間の心理的な引き込みについて、共同サイモン効果をマーカーとした実験を実施した。その結果、ヒト間の心理的引き込みについては、他者の視線方向が自分に向かっている際に増強し、目を閉じている条件、目を逸せている条件については、減弱することが明らかになった。また、共同サイモン効果の効果量と被験者それぞれの性格特徴についての関係性を検討したところ、Agreeableness(協調性)、Neuroticism(神経症傾向)にわずかな相関が見られたが、その効果量は弱く、共同サイモン効果は、性格などの内在的な要因よりも、他者の顔の認知などの外在的要因の影響が大きいことが示唆された。 加えて、共同サイモン課題中の脳波を計測したところ、脳内の情報処理過程を反映すると考えられている事象関連電位(P300)が、共同課題中において潜時が短縮することも確認し、他者の介在により、認知プロセスに一定の変化をきたすことが示唆された。 上記の2実験系により、ヒトの存在そのものが起因となる心的ダイナミクスの存在とその神経機序の一端が明らかとなったために、当該年度終盤においては、仮想現実(VR)を活用した実験用のコミュニケーションシステムを開発し、次年度では同システムを活用した行動実験を実施可能になるように準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の検討により、個人間での心理的引き込みの法則についての検討がおおよそ完了した。しかしながら、集団を対象にした検討については、共同サイモン課題の変形では対応が難しく、実験方法の再検討が必要となった。現在、仮想現実(Virtual Reality; VR)を活用した集団心理実験のプロトコルを構築中で、システム開発的には、順調に進んでおり、次年度早期に実験を開始できる予定である。そのため、当初の想定通りの進行ではないが、次年度早期にこの遅れをカバーできると推定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、(1)個人間で働く心的ダイナミクスの法則化についてのコントロール実験・論文化を進め、(2)集団で作用する心的ダイナミクスについては、VR及びメタバースを活用した行動実験をもとに分析を進めていく予定である。 加えて、自閉スペクトラム症などのコミュニケーション障害の当事者を対象とした心理実験なども併せて進めていき、ヒト間コミュニケーションにおける、心的ダイナミクスの役割及びその機能不全の可能性についても改めて検証していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)