絶滅危惧水生昆虫の現況と減少要因の解明、水環境の科学的知見に基づく環境再生
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Sciences for Sustainable Human-Aqua Environment |
Project/Area Number |
22H05245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
苅部 治紀 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (50261194)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 絶滅危惧水生昆虫 / 気候変動 / 湿地創出・再生 / 農薬影響 / 水生昆虫 / 減少要因 / 保全技術 |
Outline of Research at the Start |
国内の水生昆虫は減少著しく、国内絶滅したと考えられる種も複数知られている。近年は急速な生息状況のクラッシュとも言える劣化が進行している。本研究では、1)水生昆虫の激減したモデル地域で、絶滅危惧水生昆虫の生息情報の収集を行い、2)減少要因としての気候変動に伴う干ばつや異常高温、異常出水、侵略的外来種の侵入などの水環境変化の極端化による実態解明と水域生態系への影響を明らかにし、3)実効的な保全策として、水域の安定度や農薬汚染の事前スクリーニングを利用した「安全な湿地創出」や、大型人工容器群を使用することで、農薬汚染を排除し、外来種侵入を抑止することによる絶滅危惧種保全技術の開発試験等を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現在非常に深刻な状態に置かれていながら、これまで危機の認識が遅れ、保全対応もほとんどなされてこなかった、絶滅危惧水生昆虫の実態と減少要因を把握し、気候変動に伴う干ばつや異常出水、外来種などによる影響を評価し、今後の実践的な保全策策定のための試験を実施することで、これらの水環境に関する各種科学的知見の収集を大きな目的として実施した。 1.おもな対象とした南西諸島の絶滅危惧水生昆虫については、対象地域のほぼ全域で調査を実施でき、1)ニセコケシゲンゴロウなどすでに国内絶滅した種の存在を明らかにした、2)ミズスマシ類やコガシラミズムシ類などこれまで実態が把握されていなかった種群の激減を明らかにした などの成果があった。また、気候変動の中で温暖化が影響を与える可能性が高い北海道道東のエゾカオジロトンボ、島嶼のトンボとしては低標高の対馬のアキアカネの調査を実施し、前者が氾濫原依存種であり、植生遷移がおもな減少要因であることを明らかにできた。後者は対馬が越夏の限界気温を超えることを明らかにした。また、ネオニコチノイド系農薬影響を強く受ける立地の池沼からは、絶滅危惧種のトンボがほぼ姿を消していた。 2.事前の農薬や外来種スクリーニングによって、リスクの低い箇所に掘削した池でモニタイリングを継続し、2年間植生管理を継続し結果、南西諸島で屈指の大型水生昆虫生息地を育成することができ、この手法の有効性を実証できた。北海道道東では、絶滅危惧種生息池が周囲の樹林の繁茂で水域の被陰が進行しることが判明したため、枝打ちによって日照の改善を図る作業を実施し、対象種の増加を確認できるなど、植生管理の重要性も明らかにできた。 本研究によって、実践的な保全策策定のための試験を実施し、環境創出や再生による成果を証明することができ、社会実装としてすぐに実践投入できる保全手法の構築に成功した。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(26 results)