Application of tensor networks to elementary particle physics
Publicly Offered Research
Project Area | The Natural Laws of Extreme Universe--A New Paradigm for Spacetime and Matter from Quantum Information |
Project/Area Number |
22H05251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武田 真滋 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (60577881)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | テンソルネットワーク / 相構造解析 / CP(1)模型 / 素粒子論 / テンソルくりこみ群 / 粗視化 |
Outline of Research at the Start |
素粒子物理学の基礎である場の量子論の非摂動解析では確率過程を含むモンテカルロ法がこれまで広く用いられてきたが、複素数の作用をもつ系に対しては符号問題のために信頼できる結果を出すことが困難であった。これに対して、近年提唱されたテンソルネットワーク法は決定論的な情報圧縮に基づく数値的な粗視化法の一つであり、確率的要素を含まないため符号問題を回避することができる。本研究ではテンソルネットワーク法を用いることにより、従来法では難しかった符号問題系の相構造の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に、トポロジー項(θ項)が入ったCP(1)模型のテンソルネットワーク表示の作成について新手法の提案とその検証を行った。新手法として球面上の求積法を用いてテンソルネットワーク表示を作成した。これを数値的に検証した結果、単純な多重ルジャンドル求積の場合に比べて精度が数桁向上することを確認した。さらに、従来法である指標展開の場合と比べても、θ=π直上(相転移点が存在すると期待されている領域)では計算精度が勝ることが確認された。これにより従来法の欠点が定量的に示され、本研究の優位性が実証された。今後は、今回得られた最適な初期テンソルと粗視化アルゴリズムを用いて分配関数を計算し、相構造解析を行う予定である。 前述のCP(1)模型の研究の他にも、今年度は確率的ノイズ法を使った新しい粗視化アルゴリズムの開発も行った。その背景としては、テンソルネットワークの粗視化過程において、テンソルを分解・近似するときに特異値分解を打ち切って用いることが多いが、その際に系統誤差が発生してしまうことが知られている。しかし、確率的手法を導入することによって、統計誤差が生じるものの、その系統誤差の発生を回避することができる。本研究では、確率的ノイズと特異値分解を組み合わせた新しいテンソル分解の手法を提案した。実際に、このノイズ法とTRGを組み合わせて2次元イジングモデルの自由エネルギーを計算したところ、標準的な粗視化アルゴリズムの場合に比べて、自由エネルギーの精度が数桁ほど向上することを確認した。さらに、我々の方法をGILTと呼ばれる臨界点近傍でも情報損失が少ない粗視化アルゴリズムと組み合わせた場合でも、自由エネルギーの精度向上が確認された。今後はこの粗視化アルゴリズムをCP(1)模型にも適応し、より精密に相構造解析を行うことができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最適なテンソルネットワーク表示を完成させることができた。さらに、系統誤差を除去した粗視化アルゴリズムを完成させることができた。これにより、CP(1)模型の相構造解析におけて全体的な系統誤差をコントロールすることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジー項を含むCP(1)模型の相構造を調べるためには次の3つのステップが必要である。1つ目は系の分配関数をテンソルネットワーク表 示に書き換えることであり、具体的には1年目の研究で完成させた球面求積法に基づくテンソルネットワーク表示を使う予定である。2つ目の ステップは、そのテンソルネットワーク表示に粗視化アルゴリズムを適用することにより分配関数を数値的に評価することである。具体的な粗視化法としては、標準的なアルゴリズムであるTRG(tensor renormalization group)を使う予定である。最後のステップは分配関数の数値データを解析することにより、相転移点の場所特定と相転移の強さの判定を行う。具体的な解析手法としては有限サイズスケーリング法を用いる。もし、予想通りに2次相転移が見つかった場合は、そのユニバーサリティクラスの同定も試みる。その際には、データ解析によって中心電荷を抽出し、それによって判定する 。もし、計算精度が不足する場合は、BTRG(Bond-weighted TRG)やGILTと呼ばれる情報損失の少ない粗視化アルゴリズムを用いて計算を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)