Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
対称性の自発的破れは、凝縮系物理学から素粒子・宇宙物理学に共通する基本概念のひとつであるが、時間軸に対する並進対称性の破れは、新たな非平衡量子多体系や量子情報技術につながるプラットホームとして近年その重要性が高まっている。本研究では、NMRを用いた非平衡量子多体系の開発によって、高速かつ低エネルギーで駆動する新たな量子情報システムを創出する。新奇な準粒子の性質を利用した強固な量子時間結晶や多重共鳴技術を用いた高次時間結晶を実現する。これらの研究を通して、巨視的量子系を用いた誤り耐性量子演算としても有用な革新的な量子情報技術を確立する。
非平衡多体量子系で起こる離散時間結晶とよばれる新たな量子状態の創出は、大規模の量子情報演算の基本技術としてその重要性が高まっている。本研究では、核磁気共鳴(NMR)を用いた非平衡量子多体系の開拓を通して、高速かつ低エネルギーで駆動する新たな量子情報システムを生み出すために、強い相互作用をもつ多体量子スピン系における離散時間結晶の作製を試みた。特に、長距離の量子エンタングルメントを有する量子スピン液体や朝永-ラッティンジャー液体に着目し、新奇な準粒子の性質を利用した強固な量子時間結晶の性質を見出した。特に電気四重極相互作用を有する核スピン系については、同時に複数の準位間遷移を可能にする核-核二重共鳴システムをセットアップし、室温で現状ppmオーダーのスピン偏極率を向上させることに成功した。複数の量子状態を同時に制御可能にすることで、高次の周期性を有する時間結晶を実現した。このようなqudit制御技術の開発によって、量子コヒーレンス時間を大幅に延ばすことができることを見出し、双極子相互作用等のデカップリングパルスとしても有効であることを示した。さらに、Floquetサイクルのパルス幅(乱れに対応)とパルス間隔(相互作用Jzに対応)依存性を詳細に調べ、時間結晶の強固さを特徴づける相図を明らかにした。これらの研究成果は、誤り耐性量子計算量子スピン液体を対象とすることで、マヨラナフェルミオンを媒介した量子制御と組み合わせた量子時間結晶が創出可能であることを示すものである。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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JPS Conf. Proc.
Volume: 38 Pages: 011131-011131
10.7566/jpscp.38.011131
Volume: 38 Pages: 011130-011130
10.7566/jpscp.38.011130
日本物理学会誌
Volume: 78 Pages: 22-22
http://i-ken.phys.nagoya-u.ac.jp/index_j.html