Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
2016年にアメリカのLIGO実験チームにより、重力波の初検出が報告されました。約13億光年先の太陽の約30倍の重さを持つ双子のブラックホールの衝突によりつくられた重力波でした。その重いブラックホールは宇宙の誕生時のインフレーションが起源となりつくられた原始ブラックホールである可能性があります。また、原始ブラックホールの中にはもっと軽いものがあり、ホーキング輻射を出して量子力学的に蒸発してしまう可能性すらあります。次世代のガンマ線観測などで、ホーキング輻射を観測することにより、ダークマターとしての原始ブラックホールの正体が明らかになるかもしれません。そうした理論準備を進める必要があります。
本年度はまとめの年として初期宇宙における原始ブラックホール形成がナノヘルツ帯における背景重力波を生む誘導重力波の機構についての最新の理論を発表した。その内容は次のようなものです。2023年6月末に北アメリカナノヘルツ重力波天文台(NANOGrav)により宇宙初期から存在する背景重力波を観測したというニュースが報じられた。複数のパルサーが周期的に出す電波のシグナルの相関を15年間観測したところ、ナノヘルツ帯の電波に背景重力波特有のシグナルを観測したというものでした。もし背景重力波が存在するとすると正確なパルサーの電波の周期を変更するため重力波のシグナルとして観測されます。この背景重力波は各々の銀河の中心にあるという超巨大ブラックホールの衝突でも生じることが知られていますが今回のシグナルはスペクトルの形が有意に異なります。これはインフレーションが直接つくる大きなスケールの重力波に比べて約1千万倍以上も大きいものです。しかし、もしインフレーションが作る小スケールの密度ゆらぎが大きい場合、密度ゆらぎの非線形の2次的効果により大きな重力波が作られる効果があることが知られています。これが誘導重力波です。我々はこの誘導重力波が観測されるシグナルをぴったり一致することを指摘しました。さらに、その密度ゆらぎが潰れて太陽より軽い原始ブラックホールを生成することが理論的に予想されます。その存在量はダークマターの総量の約1%にも及びます。その軽い原始ブラックホールの連星の衝突時に発する背景重力波を将来計画である欧州のアインシュタイン テレスコープ(ET)や、米国のコズミック エクスプローラー(CE)が見つける可能性があります。そうした将来の重力波実験によりインフラトン場の量子性の検証と原始ブラックホールの発見が期待されます。このことを指摘する査読付き論文を出版することができました。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (9 results) Journal Article (22 results) (of which Int'l Joint Research: 17 results, Peer Reviewed: 22 results, Open Access: 22 results) Presentation (35 results) (of which Int'l Joint Research: 23 results, Invited: 29 results) Book (2 results) Remarks (6 results) Funded Workshop (2 results)
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
Volume: 2024 Issue: 03 Pages: 011-011
10.1088/1475-7516/2024/03/011
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 2024 Issue: 2
10.1093/ptep/ptae004
Physical Review D
Volume: 109 Issue: 6 Pages: 63506-63506
10.1103/physrevd.109.063506
Volume: 109 Issue: 6 Pages: 63026-63026
10.1103/physrevd.109.063026
The Astrophysical Journal
Volume: 955 Issue: 1 Pages: 67-67
10.3847/1538-4357/acee6d
Volume: 2023 Issue: 10 Pages: 056-056
10.1088/1475-7516/2023/10/056
Physical Review Letters
Volume: 131 Issue: 19 Pages: 191001-191001
10.1103/physrevlett.131.191001
Astronomy & Astrophysics
Volume: 679 Pages: A90-A90
10.1051/0004-6361/202347128
Volume: 680 Pages: A66-A66
10.1051/0004-6361/202346927
Volume: 130 Issue: 21 Pages: 211001-211001
10.1103/physrevlett.130.211001
Volume: 130 Issue: 17 Pages: 171002-171002
10.1103/physrevlett.130.171002
Astroparticle Physics
Volume: 150 Pages: 102850-102850
10.1016/j.astropartphys.2023.102850
Astronomy & Astrophysics
Volume: 676 Pages: A42-A42
10.1051/0004-6361/202346155
The Astrophysical Journal Supplement Series
Volume: 267 Issue: 2 Pages: 29-29
10.3847/1538-4365/acdc9f
Proceedings of Science, 38th International Cosmic Ray Conference
Volume: 444 Pages: 1385-1385
10.22323/1.444.1385
Volume: 2023 Issue: 01 Pages: 027-027
10.1088/1475-7516/2023/01/027
Volume: 2023 Issue: 02 Pages: 038-038
10.1088/1475-7516/2023/02/038
Volume: 130 Issue: 6 Pages: 061002-061002
10.1103/physrevlett.130.061002
Volume: 106 Issue: 12 Pages: 123511-123511
10.1103/physrevd.106.123511
Volume: 106 Issue: 4 Pages: 43539-43539
10.1103/physrevd.106.043539
Volume: 2022 Issue: 10 Pages: 015-015
10.1088/1475-7516/2022/10/015
Volume: 9 Issue: 9 Pages: 910-910
10.1093/ptep/ptac114
https://www.nao.ac.jp/contents/naoj-news/data/nao_news_0342.pdf
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http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~kazunori.kohri/KyouDouFiles20221104/Shinano-Mainichi-Shinbun-1002.pdf
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~kazunori.kohri/KyouDouFiles20221104/San-You-Shinbun-20220925.pdf
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~kazunori.kohri/KyouDouFiles20221104/Ehime-Shinbun-20220818.pdf
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~kazunori.kohri/KyouDouFiles20221104/Kouchi-Shinbun-20220814.pdf