Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
沈み込むプレートから海水を起源とする二酸化炭素を含む塩水流体がマントルウェッジに加わり加水反応を起こしています。その時、反応に余った水流体が間隙水圧を増やすことで微動を起こすと考えています。この仮説を検証するために、沈み込むプレートの温度計算を行い、プレートとマントルウェッジの含水鉱物の安定領域と比較します。また、室内での水熱合成実験を行うことによって、マントルの岩石と水と二酸化炭素を反応させた時に、どのような鉱物ができるか理解します。この研究によって、静岡県から紀伊半島を経て四国まで断続的に起こっているスロー地震の一つである深部低周波微動の原因の理解に迫ります。
本研究では、スロー地震発生の引き金となると想像される沈み込み帯流体の化学組成を理解するために、西南日本外帯のスロー地震発生領域で形成されたと考えられる岩石中の流体包有物の解析を行った。西南日本外帯の紀伊半島四万十帯の泥質千枚岩と、関東三波川帯の長瀞の蛇紋岩には、開口割れ目を埋める鉱物脈が存在する。前者では、石英とカルサイトからなる脈を、後者からは、マグネサイトとタルクからなる脈とドロマイトからなる脈を採取し、ラマン分光法とマイクロサーモメトリー法を用いて、流体包有物を解析した。いずれの試料にも、塩水の流体包有物が観察された。四万十帯の流体包有物は、塩濃度3% NaCl当量、134°Cの均質化温度を示した。三波川帯長瀞蛇紋岩では、マグネサイト中は塩濃度3.9% NaCl当量、ドロマイト中は塩濃度2.8%、均質化温度はいずれも155°Cであった。これらの開口割れ目とスロー地震の関係は不明であるが、先行研究によって推定された温度と、本研究の塩濃度と均質化温度から、脈の形成条件は、四万十帯で約9 km(300°C)、三波川帯で約20 km(450°C)と推定する。炭酸塩鉱物は真水にほとんど溶けないが、塩水には溶解する。このため鉱物脈に炭酸塩を含むこと、その中に含まれる流体包有物が塩水であることは調和的である。スロー地震の発生メカニズムの一つに開口割れ目との関連が議論されている。その割れ目を埋めている脈中の流体包有物を解析することで、流体の化学組成とその密度を知ることができる。本研究は、沈み込み帯流体の化学組成は海水に近い塩濃度を持つ塩水であり、四万十帯の堆積岩中でも、より深部の三波川帯の蛇紋岩体でも、H2O-CO2-NaCl-CaOの化学組成を持つことを示す。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geochimica et Cosmochimica Acta
Volume: - Pages: 146-172
10.1016/j.gca.2024.03.032
Contributions to Mineralogy and Petrology
Volume: 179 Issue: 5 Pages: 51-51
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Royal Society Open Science
Volume: 10 Issue: 6
10.1098/rsos.230410
Science
Volume: 379 Issue: 6634 Pages: 8671-8671
10.1126/science.abn8671
Elements
Volume: 18 Issue: 1 Pages: 35-40
10.2138/gselements.18.1.35