Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
通常の地震よりも揺れの周期がゆっくりとしたスロー地震は、その場所を通過する地震波といった、外からの別振動によって誘発される事が知られている。この現象を捉えるために、光ケーブルの伸縮測定という新たな測定技術を利用して、京都府南部において、5m間隔で1万か所という超高密度の揺れの観測を行う。これまで点でしか捉えられなかった地震による地表の揺れを、線状から面状に捉えることができる様になる。どのようにスロー地震が誘発されるかを詳細に調査することを通じ、普通の地震とスロー地震との相互作用や、スロー地震発生のメカニズムに迫る。
地殻内部で発生する低周波地震は、プレート境界で発生する現象に比べて観測例が少ないため、スロー地震についての包括的な理解が不足していた。この様な内陸の低周波地震の発生過程に迫るために、京都府南部において分布型音響センシング(DAS)測定記録を用いた低周波地震の調査を計画した。本研究課題において昨年度実施したDAS測定記録を精査したが、1か月間の測定期間中に低周波地震が観測されなかっため、過去に取得したDAS記録も利用し、発生場の解明に関する研究を行った。低周波地震よりも浅い場所で発生した通常地震の後続波の特徴を、DASによる超高密度地震波形記録で調べたところ、低周波地震が発生する下部地殻で反射する顕著な信号が観測されていた。この様な反射波はこれまでにも観測されていたが、大規模記録であるからこそ空間的に連続して捉える事ができた、初めての事例である。波動場再現解析から、反射波を生じさせる構造は低速度帯として北側に低角で傾斜し、低周波地震の震源域に達していることが再確認され、スラブ脱水の流体の経路を形成している可能性が示唆された。また能登半島北東部においてDAS観測を2か月間行った。ここでは2020年末より群発地震活動が活発化し、流体の移動に伴うと考えられる地殻活動が観測されているため、内陸で発生するスロー地震の研究には適切なフィールドと判断した。2023年7月から9月に掛けて、群発地震活動域の南側から南西側にかけて設置されている光ファイバーケーブルを利用し、群発地震を観測した。一部で架空芯線区間となっているケーブルを利用した初めての地震観測でもあり、DAS観測に関する新たな知見が多く得られた。下部地殻で反射してきていると思われるS波の後続波が、特定の領域で認められ、一連の群発地震活動との関連性が考えられる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023
All Presentation (2 results)