Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、第9族遷移金属触媒とキラルカルボン酸を用いた不斉C-H官能基化反応の開発において、半経験的量子化学計算と配座探索に基づくin silicoスクリーニング、および実験データに基づいた機械学習による補正を組み合わせた手法によって、高い選択性を実現する新規キラルカルボン酸の開発をおこなう。触媒構造の配座自由度の高さと触媒評価のための実験コストの高さが新規触媒開発のネックとなっている本触媒系において、本手法によってリーズナブルな実験コストと計算コストで、未知のキラルカルボン酸によるエナンチオ選択性を予測することで、研究の飛躍的な発展を目指す。
昨年度までの検討においてキラルカルボン酸類を配位子として利用した場合では反応性が低く、十分な反応性を担保するためにはキラルピリドン類を用いることが必要であることが判明していた。そこで開発したin silicoスクリーニングプログラムを利用して様々なキラルピリドン類の評価をおこない、有望な骨格・構造を見出した。その際、配座探索の並列化に非効率な部分があることが判明したため、その他の細かな部分と合わせて改善を施し、より使いやすいツールへと改良することができた。続いて上記で見出したキラルピリドンの合成を検討した。そのような複雑な骨格を有し、必要な電子求引基を有するピリドン誘導体を効率的に合成する方法は報告がなかったため、C-H活性化を利用した新たな合成法から検討した。モデル基質を用いた様々な検討の結果、効率的に電子不足ピリドン類を合成する反応を見出すことができた。しかし見出した条件を用いて目的とするキラルピリドン類の合成を検討したところ、副反応が優先し、望みとする生成物は得られなかった。そのため合成ルートを変更し、現在合成を検討中である。上記の検討に加え、本領域内で開発と研究がおこなわれている官能基評価キットを用いて、アミドを配向基とするC(sp3)-Hアミド化反応の官能基許容性を検討した。これにより本反応の高い官能基許容性が実証できたほか、一部の芳香族化合物を添加すると収率が若干ではあるが改善するという予想外の結果を得た。そのメカニズムは明らかにできていないが、これがキラル配位子とは独立して機能しているとすれば、不斉C-H官能基化の反応性の向上に利用できると期待される。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (9 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Invited: 4 results)
Asian Journal of Organic Chemistry
Volume: 12 Issue: 8
10.1002/ajoc.202300218
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 62 Issue: 29
10.1002/anie.202305480
Volume: early view Issue: 21
10.1002/anie.202301259
Volume: 61 Issue: 52
10.1002/anie.202213659