Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
サイズ効果から化学反応を著しく高めるナノリアクターは分離・精製・高次反応という点で課題が残る。本研究では、微小体積空間の融合・分裂を繰り返し操作し、多段階反応を制御するナノリアクターの創製を目指す。微小体積空間は、細胞膜中で流動性を示すグリセロ脂質を温度応答性ポリマー両末端へ修飾して二分子膜型ポリマーベシクルを調製し、これを利用する。反応性分子を内包させたポリマーベシクルの熱刺激から、その融合・分離の制御を試みる。融合に伴う内包分子の混合から反応を開始させ、ベシクルの分裂や解離から目的物を回収する。この一連の操作を多段階反応に適用し、高速ナノリアクターとしての有効性を検証する。
フェムトリットル反応空間の効率的な融合・分離操作技術の開発を目指し、両末端にジアシルグリセロールをもつポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)からなるポリマーを調製し、その下限臨界共溶温度(LCST)型の熱応答性を利用してポリマーベシクル間の融合・解離を報告してきた。より高い融合後の安定化や汎用性を付与するため、このポリマーを二分子膜上に含有したジャイアントリポソーム(p-GUV)間の融合制御を試みた。W/Oエマルションからの界面通過法を用い、リン脂質に対するポリマー組成を1mol%以下とすることで蛍光色素を内包したp-GUVが調製できた。このp-GUV含有溶液をポリマーのLCSTおよびDPPCの相転移温度以上まで加温するとp-GUV間が接触した像が得られた。冷却してもp-GUV間が分離しないことから、ポリマー鎖が両ベシクル間にて相互作用していると考えられた。このため脂質組成の異なるベシクルについても検討し、DPPC/DOPC/コレステロールの室温から体温付近では相分離構造を示す組成において、さらにp-GUV中のポリマー組成を0.1mol%以下、ポリマーを低分子量化(Mn = 10,000)することで、熱刺激によるp-GUV間の融合を惹起しえることを見出した。ポリマー脂質のアルキル鎖長を変化させても挙動に大きな変化は確認されないことから、ポリマーの低分子化による温度感受性の増加とともに、相分離構造を形成するリン脂質の表面への露出がリポソーム間の融合に寄与していると考えられた。今後より詳細な組成、またベシクルサイズなどの検討からp-GUVの融合効率の向上を試みることで、p-GUVに内包した物質の混合と反応制御を試み、高速微量反応・精製を可能とするナノリアクターへと展開していく。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 2 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results)
Journal of Networkpolymer,Japan
Volume: 45 Issue: 1 Pages: 3-12
10.11364/networkedpolymer.45.1_3
ACS Omega
Volume: 9(10) Issue: 10 Pages: 11942-11949
10.1021/acsomega.3c09708
Sci. Total Environ.
Volume: 875 Pages: 1-11
10.1016/j.scitotenv.2023.162586
Scientific Reports
Volume: 12 Issue: 1 Pages: 20393-20393
10.1038/s41598-022-24841-y