化学反応動力学理論を用いた頑健な反応経路設計アルゴリズムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Bottom-up creation of cell-free molecular systems: surpassing nature |
Project/Area Number |
22H05403
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姫岡 優介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70903160)
|
Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
|
Keywords | 化学反応動力学 / ダイナミクス / 力学系 / 数理モデル / 化学反応 / シミュレーション / ネットワーク / 無細胞翻訳系 / 人工反応系 / 化学反応ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
機械学習技術などの発達によって、有用化合物を合成するための化学反応経路のデザインが活発に行われるようになった。しかし、化学反応は複雑なプロセスであるため、目的物質を安定的に合成し続けるためにはどのような制御やネットワーク構造が必要かといったことについてあまり多くは分かっていない。そこで本研究では有用物質を安定的に合成する反応経路のデザイン手法の構築を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、揺らぎや外乱に対して頑健な人工反応系をデザインするための力学系理論の構築である。データベースの拡充や機械学習技術の発展により、必要な化合物を合成するための化学反応系を理論的に提案することが可能になってきている。しかし、多くの既存手法では化学反応系が持つ非線形なダイナミクスは考慮されていないために、設計された反応系が想定どおりの機能をロバストに発揮するかどうかは保証されていない。本研究では、反応動力学シミュレーションに基づいて、デザインされた化学反応系が頑健に機能を発揮できるか否かを判定するアルゴリズムの開発を目指す。 本年度は「人工的反応ネットワーク」という、単純なルールで構成される抽象的な化学反応ネットワークモデルを構築し、反応ネットワークの構造とダイナミクスの定性的特徴の関係性を調べた。その結果、化学反応ネットワークの構造を表す、化学反応量論行列が特定の性質を持つ場合、化学反応ダイナミクスがプラトー緩和やべき緩和など、特徴的な振る舞いを示すことが分かった。 また、計画班の松浦グループとの共同研究として、無細胞翻訳系PURE Systemの計算機モデルであるe-PURE Systemのパラメーター最適化の研究を行なった。遺伝的アルゴリズムを用いた大規模なパラメーター探索により、先行研究では再現することのできなかった実験結果をe-PURE Systemで再現することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工的化学反応ネットワークを用いた、ネットワーク構造と緩和ダイナミクスの関係性に関する研究は順調に推移し、論文は現在査読中、bioRxivにて公開済みである。 また、e-PURE Systemの研究については、先行研究で実現できていなかったパラメーター最適化を実現することが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
人工的化学反応ネットワークを用いた、ネットワーク構造と緩和ダイナミクスの関係性に関する研究について、今後はより広いクラスのネットワークに同様の解析を行い、構造と頑健性の間の関係を明らかにする。 e-PURE Systemのパラメーター最適化については、2023年度中の論文化を目指す。加えて、e-PURE Systemのポリペプチド鎖合成速度がパラメーターにどのように依存するのかを、東京大学内部のスーパーコンピューターを用いて広い範囲で探索し、進化生物学における「適応度地形」に対応するものを描く。適応度地形は元来生物学の概念であるが、分子進化実験など、非生物システムを何らかの目的のために実験的に最適化する研究とは非常に相性が良い。無生物分子システムの適応度地形に関する理解を深めることで、分子進化実験をより効率的に行うための指針が得られる可能性がある。 また、共同研究先である松浦グループより複数の実験データの提供が行われる予定なので、それら実験データを再現するようなパラメーターセットの探索も行う。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)