Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、非天然の合成金属錯体(人工材料)と、タンパク質反応場(バイオ分子)を組み合わせた「人工酵素」を構築する。そして、無細胞分子システムを基盤とした実験室進化により人工酵素を改変することで、合成金属錯体とタンパク質反応場との高次元相互作用を創製し、不活性C-H結合の位置選択的官能基化を実現する新規触媒を開発する。2022年度は、無細胞分子システムに立脚した人工酵素のハイスル―プットスクリーニング系の開発に着手する。そして、2023年度には実際に人工酵素の実験室進化を実施し、社会実装に資する高活性な金属触媒を構築する。
本研究は、高難度な不活性 C-H 結合の位置選択的官能基化をめざし、無細胞分子システムを活用した新規金属触媒をボトムアップ構築することを目的とする。具体的には、非天然の遷移金属錯体を補因子としてタンパク質に導入した「人工金属酵素」を構築し、無細胞条件下での指向性進化法を駆使した遺伝子工学的な改変を実施する。2023年度は、鉄コロール錯体を補因子としてミオグロビンに導入した人工金属酵素を構築し、指向性進化法によるタンパク質反応場の改変を実施することで、ABTSの酸化反応に対して高いペルオキシダーゼ活性を示す変異体を獲得することに成功した。この得られた変異体は、改変前の人工金属酵素と比較して、24倍高い反応初速度を示すことが判明した。また加えて、鉄ポルフィリン錯体を補因子としてミオグロビンに導入した人工金属酵素についても、遺伝子工学的改変を実施し、アルドキシムの脱水反応に対する触媒活性を向上させることに成功している。さらに2023年度には、本学術変革領域内の共同研究により、効率的な人工金属酵素の指向性進化を実現するために、オリゴペプチド(Strep-tag II)を精製タグに用いた新たな無細胞分子スクリーニング手法を確立した(S. Kato et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62, e20230376)。本手法は、安価なキチン粉末をクロマトグラフィー担体として用いて、人工金属酵素の指向性進化を細胞夾雑物非存在下で実現する強力な手法である。今後、この手法を最大限に活用し、進化分子工学による高機能金属酵素の開発に着手する。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Angewandte Chemie International Edition
Volume: 62 Issue: 31
10.1002/anie.202303764
Journal of the American Chemical Society
Volume: in press Issue: 15 Pages: 8285-8290
10.1021/jacs.3c00581
Comprehensive Inorganic Chemistry III
Volume: 3 Pages: 215-230
10.1016/b978-0-12-823144-9.00142-4
http://www.cfi.eng.osaka-u.ac.jp/seeds/seeds_list_1/kato_shunsuke_assist/
https://miraibook.jp/researcher/sa23009